研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化 |
研究課題/領域番号 |
21103005
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
仁木 登 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (80116847)
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研究分担者 |
河田 佳樹 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (70274264)
鈴木 秀宣 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (50546710)
島田 光生 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10216070)
原田 雅史 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20228654)
上野 淳二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60116788)
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キーワード | 計算解剖学 / コンピュータ支援診断システム / がん(肺がん、肝がん、膵臓がん、大腸がん) / 慢性閉塞疾患(COPD) / 心血管・リンパ節疾患 / 骨粗鬆症 |
研究概要 |
本研究では、計算解剖モデルを応用したコンピュータ支援診断システムの研究開発を行い、計算解剖モデルの基礎研究を行うA01班と臨床展開を担うA03班の研究成果を相互にフィードバックし、領域内研究の有機的な結合により計算解剖学の学理構築を図る.そこで、CT,MRI,PET/CTのマルチモダリティ画像情報による体幹部の形態・機能情報の計算解剖モデルを利用して胸腹部の主要疾患(がん(肺がん、肝がん、膵臓がん、大腸がん)、慢性閉塞疾患(COPD)、心血管・リンパ節疾患、骨粗鬆症)を対象にした存在診断・鑑別診断を支援するコンピュータ支援診断システムを研究開発する。この推進のため、(1)大規模マルチモダリティ画像データベースの構築、(2)画像診断装置の特性評価と汎用性、(3)大規模マルチモダリティ画像データベースによる計算解剖モデルの構築、(4)計算解剖モデルを用いた超高性能存在診断・鑑別診断エンジンの研究開発、(5)高機能柔軟診断用ユーザインターフェィスの研究開発に取り組む.本年度の主な研究成果の概要は次の通りである. (1)大規模マルチモダリティ画像データベースの構築 研究開発用データベースの構築環境を整備し,医療施設の倫理審査委員会の承認を得て8つ医療施設で運用実施を進めた. (2)画像診断装置の特性評価と汎用性 CT 検診においては受診者の被曝線量と画質の関係の把握は重要な課題である.被曝線量の測定にはファントムに電離箱線量計や熱蛍光線量計を装着して実施されるが,検診時に問題となる受診者の表面線量分布の推定には精度が不十分であった.そこで,高性能なフィルム線量計を構成して受診者の表面被曝線量と画質との関連を解析するための手法を確立した. (3)胸腹部の主要疾患の診断・治療支援アルゴリズムの研究開発 大規模データをもとに肺がんを中心とした胸腹部の主要疾患の多様な病態と健常な胸腹部の臓器構造を定量的に記述する計算解剖モデルの開発を進め,その利用によって異常部位の検出精度が向上することを明らかにした (4)高機能柔軟診断用ユーザインターフェイスの研究開発 計算解剖モデルを利用した肺がん,肺気腫等の胸部疾患検出のGUI機能を備えたプロトタイプシステムを開発した.現在,国立がん研究センター等の医療機関にプロトタイプシステムを設置し,臨床研究を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本計画班「A02-1 計算解剖モデルに基づく診断支援」の平成23年度の研究成果は学術論文:3件,国際会議論文:5件,招待講演:3件,受賞:3件であり,申請時の計画通り順調に進展している.領域全体の中間評価では,評価結果:A+(研究領域の設定目的に照らして、期待以上の進展が認められる)と高い評価を受けた.評価の着目点ごとの所見では,研究の進展状況について「研究項目・研究計画内での共同研究は順調に進んでいると評価できる」とされ,研究成果においても「既存の学問分野の枠に収まらない振興・融合領域の創成を目指すもの」として,全体としては順調に研究が進展しており,予定通りの成果をあげていると評価できる」と評価を受けている.
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今後の研究の推進方策 |
(1)大規模マルチモダリティ画像データベースの構築,(2)画像診断装置の特性評価と汎用性,(3)大規模マルチモダリティ画像データベースによる計算解剖モデルの構築,(4)計算解剖モデルを用いた超高性能存在診断・鑑別診断エンジンの研究開発,(5)高機能柔軟診断用ユーザインターフェイスの研究開発,(6)プロトタイプシステム構築とその実用化に向けたマルチセンタースタディによる臨床研究.平成23年度までに進めている(1)-(5)についての評価実験結果を踏まえた手法のブラッシュアップを継続的に進め,これらの研究成果をもとに平成24年度以降は,(6)を中心的な研究課題として取り組む.薬事申請を目指したCADシステムの機能・性能向上につながる臨床研究プロトコルを医工連携して設定し,多医療施設(国立がん研究センター(がん研究検診センター,中央病院,東病院),東京都予防医学協会,京都大学,滋賀医科大学,千葉大学)においてCADの臨床研究を実施する.多施設でシステムの有効性・安全性を実証し,その結果をフィードバックさせて計算解剖モデルに基づいたCAD実用化技術として確立する.
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