研究概要 |
平成23年度は、計算解剖学の臨床応用のプラットフォームを構成する要素技術として各種のシミュレーション技術あるいはナビゲーション技術を開発した。Open MRI治療室内で行う超音波ガイド下肝癌局所治療を51例の肝癌患者に応用し、その治療成績につき検討した。対象は2005年10月から2011年3月までの肝癌,のべ51例。平均70.6歳男性32例,女性19例。肝細胞癌初発10例,肝細胞癌再発33例,転移性肝癌7例,その他の腫瘍1例,単発が18例,多発が33例,最大腫瘍径は1.0~3.5cm(平均2.1cm)であった。全例において腫瘍と穿刺針の3次元位置関係が直観的に把握でき、誤差は2~4mmであった。とくに、超音波ガイドのみでは十分に描出されなかった12例に対してもリアルタイム3次元ナビゲーションにより穿刺が容易となった。また、リンパ節自動検出システムの検証を行った。症例は,S状結腸癌の診断で腹腔鏡下S 状結腸切除術予定の54歳男性。術前のMulti detector-row computed tomography (MD-CT)のデータを用いて本システムにて分析した。主病変近傍の3個のリンパ節は放射線科読影専門医の診断とすべて一致していたが,偽陽性も多くみられた。主病変と離れた遠隔リンパ節の検出や転移診断能については今後の研究開発が待たれる。バーチャル気腹システムでは,おおむね実画像と同等と考えられるバーチャル画像が得られた。本システムを応用し,個別化されたトレーニングを行うことにより手術トレーニングがより精緻化することが期待される。
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