研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化 |
研究課題/領域番号 |
21103009
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
橋爪 誠 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90198664)
|
研究分担者 |
鈴木 直樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40147327)
木口 量夫 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90269548)
杉本 真樹 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70398733)
|
研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 計算解剖学 / 電気電子工学 / 計測工学 |
研究実績の概要 |
平成24年度は、計算解剖学の臨床応用のプラットフォームを構成する要素技術として開発した各種のシミュレーション技術やナビゲーション技術を発展させた。Open MRI 治療室内で行う3次元バーチャル画像によるリアルタイムナビゲーションシステムを2例の乳腺部分切除術に応用した。いずれも乳腺MRIにて左乳頭下に拡張した乳管が認められるものの、触診、マンモグラフィ、超音波検査では明らかな腫瘤陰影を認めなかった。3次元バーチャル画像によるリアルタイムナビゲーション下に切除範囲をマーキングする色素を乳腺組織内に穿刺注入した後、マーキングに沿って乳腺を切除した。本ナビゲーションシステムは、触診や超音波検査による切除範囲の決定が困難な乳癌症例に対する正確な切除を可能とする。また、管腔臓器の自動診断を目的として開発されたNewVESが消化器外科領域の治療シミュレーションシステムとして応用可能かどうか検討した。大腸癌切除60例を対象とし、術前CTをNewVESのリンパ節自動検出モード(lymph node extract mode)を用いて解析した結果を解析した。また、肝性脳症に対し、バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(Balloon-occluded retrograde transvenous obliteration; B-RTO)を施行した5例を対象とした。NewVESによる静脈のフライスルー軌跡解析に用い、その結果を治療時のシミュレーション画像として応用した。NewVESによる大腸癌転移リンパ節自動診断では感度81%、特異度は評価不能であった。直腸癌症例のみの検討では感度78%、特異度77%、偽陰性率19%、偽陽性率18%であった。B-RTOを行った5例いずれも複数の短絡路を有していたが、5例中4例でB-RTOが成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学術領域全体からみた当研究班の役割は計算解剖モデルの臨床応用であるが、OpenMRI治療室内で行う3次元バーチャル画像を用いた乳癌手術を実際に行った。また、A02班で開発されたNewVESをリンパ節診断に応用し、かつinterventional radiologyにフライスルー軌跡解析に用いたナビゲーションを行うなど、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、バーチャル内視鏡システムを応用した血管内フライスルーシステムを更に発展させリアルタイムなナビゲーションが可能となるよう開発中である。また、最終年度でもあるため総仕上げとしての教科書の執筆を予定している。
|