計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
1.[中性ルビジウム(Rb)原子からの超放射観測]基底状態(5S1/2)にある中性ルビジウム(Rb)原子に対し波長421.5nmのレーザー光照射により励起状態(6P1/2)を作成し、そこからの超放射現象を研究した。6P1/2からは2つのカスケード超放射パス、即ち6P1/2->6S1/2->5P3/2及び6P1/2->4D3/2->5P1/2が存在する。実験の結果、これらの超放射を観測することに成功した。また、超放射角度分布の測定、2つのパスの相関、原子数依存性などの物理量を測定した。2.[中性バリウム原子からの超放射観測]中性バリウム原子は、寿命が1/8秒と非常に長い準安定状態(6s5d 1D2)を持つ。このため、二光子対超放射の実験的検証に適していると考えられている。本年度においては、準安定状態を多数、高速で生成することを目標の1つとした。その生成方法は、基底状態(6s2 1S0)原子を一度中間状態(6s6p 1P1)に励起し、その状態から超放射現象を利用して、目的とする準安定状態を生成することとした。まずヒートパイプを製作し、その基礎特性を確認した。その後、バリウム標的に1S0->1P1遷移に対応するレーザー光(554nm)を照射して、1P1状態から1D2状態への超放射(1500nm)を観測した。これにより、例えば800℃においては約10^13個の準安定状態を3nsで生成することに成功した。これを自然放出4μsの場合に比べると1000倍以上の加速である。また、観測された超放射強度の標的密度依存性、放射の角度依存性、遅延時間と標的密度との関係等を実験的に明らかにし、理論予想と比較した。更にトリガーレーザー光(1500nm)を照射すると、当該超放射が誘起され、超放射の強度が強くなること、それに伴い遅延時間が短くなること等を発見した。以上に加え、より精密な数密度測定法および緩和時間測定法を開発した。3.[その他の成果]二光子対超放射に関連する理論及びシュミレーションの研究、窒素内包フラーレンからの超放射観測予備実験等を行った。イオントラップを作成し、トラップの基礎的な性能を検証した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Progress of Theoretical Physics
巻: 123 ページ: 523-532
http://xqw.hep.okayama-u.ac.jp/kakenhi/