研究領域 | 原子が切り拓く極限量子の世界ー素粒子的宇宙像の確立を目指してー |
研究課題/領域番号 |
21104003
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
川口 建太郎 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (40158861)
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研究分担者 |
中川 幸子 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10098585)
平原 靖大 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30252224)
唐 健 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40379706)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 赤外レーザー分光 / 光章動 / 水素マトリックス / 量子拡散 / 赤外・赤外二重共鳴 |
研究実績の概要 |
本研究では、コヒーレントなパルス光での励起後の、超放射現象をニュートリノ対放射の検出に利用するための基礎的研究を行ってきた。本年度は新たにパルス赤外OPOレーザーと色素レーザーを購入・設置した。赤外OPOレーザーと既存の連続発振赤外OPOレーザーを用いて緩和現象の理解のために赤外・赤外二重共鳴信号を観測した。これまで様々な手法で緩和現象が研究されているCH3F分子でパルスレーザー(パルス時間幅5nsec)によりv4=1の状態に励起しそこに連続発振のOPOレーザーでv4=2への吸収をモニターした。パルスレーザー光がなくなるとv4=1状態の分子は衝突により他の振動回転準位に緩和するので、cw-OPOレーザーの吸収の減衰が観測される。その結果これまで圧力幅の測定から得られている緩和時間とは異なる値が得られた。水素マトリックス装置では HF、DF分子及びその2量体、3量体の赤外スペクトルの観測により、HF、DF分子の固体水素マトリックス中での移動性、反応性を調べ、量子拡散現象が起こっていることを見出してきたがその解釈を深化させ、論文としてまとめた。CH3F分子でcw赤外OPOレーザーを用いたフォトンエコーなどコヒーレント現象の観測を続けたが、得られた緩和時間は赤外・赤外二重共鳴実験の結果と一致しなかったので、EOM(光変調器)を用いたシステムの開発を行うことにした。それによりシュタルク効果を利用することなしに光エコーを観測できるのが利点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しいレーザーの導入により赤外・赤外二重共鳴分光ができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
24年度設置した色素レーザーにより、2光子対超放射に関する実験を進展させる。具体的には以前から標的にしている、(1)金、銀原子、またそれらの水素化物分子,(2)H2CO,H2CSなどの研究を推進する。二光子対超放射に対しては新たに対称コマ分子での振動回転遷移を利用した実験を行う。また量子化学計算による分子のエネルギー準位の見積もりとホストとの相互作用に関する研究を続行し、ニュートリノ対放射に適した分子システムを予測し、新たに設置するレーザー分光システムにより、緩和時間、可干渉性について知見を得る。
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