研究領域 | 多彩なフレーバーで探る新しいハドロン存在形態の包括的研究 |
研究課題/領域番号 |
21105005
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯嶋 徹 名古屋大学, 現象解析研究センター, 教授 (80270396)
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研究分担者 |
足立 一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (00249898)
河合 秀幸 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60214590)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 素粒子実験 / 実験核物理 / 放射線検出器 / 半導体検出器 |
研究実績の概要 |
本計画研究では、三実験プロジェクト(Bファクトリー実験、LEPS実験、KEK-E325/J-PARC-E16実験)に参画する研究者が協力し、将来の高輝度施設における実験に向けた測定器開発研究を強力に進めることを目的としている。平成24年度においては、特に、名古屋大学において独自開発を進めている次世代粒子識別装置である「TOP Counter」の高輝度Bファクトリー実験への実装に向けて、実機用マイクロチャンネル内蔵型光電子増倍管(MCP-PMT)の量産を進め、生産された製品の性能検査、また磁場中での動作試験を詳細に行った。また、光電面の劣化(寿命)を改善する手法を確立した。TOPカウンターのLEPS実験への応用についても検討を進め、BファクトリーとLEPSの両実験の研究者が協力して、実機用MCP-PMTを搭載したTOPカウンタープロトタイプのビームテストをSPring-8において行った。 Belle II 検出器のエンドキャプ部に設置される「エアロジェルRICH」検出器用のHAPD光検出器についても、コバルト照射施設を使用した耐放射線試験を繰り返して、放射線耐性を確認し、実機用HAPDの仕様確定を行った。また、Bファクトリーのみならず将来の高輝度実験に有用となる高速データリンクの開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TOPカウンターの開発については、MCP-PMTの量産が進み、生産されたPMTの検査が、前年度に整備したテストベンチを使って順調に進んでいる。また懸案事項であったMCP-PMT光電面の劣化の問題についても、新しい技術導入によって解決した。石英輻射体についても、今後の量産に備えて、石英の透明度や表面反射率を正確に計測するシステム構築が進み、実機製作の準備が進んでいる。読み出しエレクトロニクスの開発にやや遅れがあり、ビームテストでは必ずしも最高のデータが得られなかった。問題点は理解できており、今後改良してゆく。 HAPD光検出器についても、コバルト照射施設を使用した耐放射線試験を繰り返して、放射線耐性を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本計画研究の主要テーマである高輝度Bファクトリー実験用TOPカウンターに関しては、実機建設に向けて以下を進める。1)光検出器の量産:TOPカウンター用MCP-PMT(マイクロチャンネルプレート内蔵型光電子増倍管)の量産を進める。生産品の性能をいち早く検査し、検査結果をフィードバックすることにより、性能の改善を図る。2)石英輻射体の量産と試験:石英輻射体の量産を進め、製作された石英版の表面・形状精度や脈裏状態を評価する。3)プロトタイプ製作とそのビームテスト: TOPカウンターの1モジュールを試作し、ビームテストで性能を明らかにする。また同時に、石英バーやのサポート方法、光検出器の取り付機構などのメカニカルな検証を行う。4)Belle II 研究者とLEPS研究者が協力してTOPカウンターのビームテストをSPring-8において進め、検出器の最終性能確認を行う。 また、エアロジェルRICH検出器については、開発中のハイブリッド光検出器(HAPD)の中性子やガンマ線に対する放射線耐性を最終確認し、量産を進める。 さらに、Bファクトリー、J-PARC、SPring-8における実験で利用可能な読み出し回路の開発を公募研究とも連携しながら進める。 以上を進めるとともに、本研究の最終年度となるH25年度に、これまでの開発研究の成果をまとめ総括する。
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