計画研究
本研究の目的は、各種有機イオン種の寿命および反応性を系統的に明らかにするとともに、そのデータに基づいて、ワンポット法(時間的反応集積化)やフロー法(空間的反応集積化)を用いて活性な有機イオン種を生かしたまま逐次的に反応を行う集積化合成法を開拓することである。本年度は以下のような成果を得た。有機カチオン種を中間体とする電解酸化法と化学的酸化法の集積化についてさらに検討を行い、次のような成果を得た。ジメチルスルホキシド(DMSO)共存下、低温電解酸化によりヨウ素カチオン種を発生しカチオンプールとして蓄積できることを明らかにした。この活性種をアルケンと反応させると不安定活性種であるβ-ヨードアルコキシスルホニウムイオンが生成し、これをアミン塩基で処理するとSwern酸化と同様の機構を経てα-ヨードカルボニル化合物へと導くことができた。また、塩基の種類を変えることにより本活性種を異なる生成物に導けることを見出した。すなわち、水酸化ナトリウム水溶液を作用させるとヨードヒドリンが、またナトリウムメトキシドを作用させるとエポキシドが良好な収率で得られた。有機アニオン反応の空間的集積化についてもさらに検討を行い、次のような成果を得た。すなわち、集積型フローマイクロリアクターを用いて各種不安定アリールリチウム種を利用して発生させ、二酸化炭素(1.5当量)を作用させると対応する芳香族カルボン酸を良好な収率で得ることができた。本分子変換は、均一系のハロゲン/リチウム交換反応と二酸化炭素を用いる気/液系の反応の集積化であるが、後者の二酸化炭素との反応も滞留時間が4.7秒以内で進行する高速な反応であり、各種求電子性官能基に影響を与えずに行えることも明らかとなった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
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