研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
21106003
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
柳 日馨 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80210821)
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研究分担者 |
福山 高英 , 理学系研究科, 講師 (60332962)
小林 正治 , 理学系研究科, 助教 (30374903)
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キーワード | 集積型ラジカル反応 / マルチタスク触媒 / 1,4-ジエン / 位置選択的アリル化 / マイクロフロー系 / C-N結合解裂 / ジフェニルヒドラジル基 |
研究概要 |
現代社会が求める生物活性物質や機能性物質の合成における課題のひとつは高選択かつ高純度合成手法の開発であり、本研究ではわずかなエネルギー供与で優れた選択性と効率性を発現する高効率ラジカル反応系の開拓を反応開発と反応デバイス選択の両面から検討し、その集積化を経て重要な生物活性物質や機能性物質の合成に資する力量ある方法論に高めることを目的とする。多成分集積型ラジカル反応とともにマルチタスク金属触媒反応の開発や活性種ハイブリッド型反応についても検討する。 本年度においては臭素ラジカルをメディエーターとするアリルブロミドによるアルキンへの位置選択的アリル基導入反応を見出した。生成物である1,4-ジエンはビニルブロミド構造を有することから次なる炭素-炭素結合形成反応に利用することが出来る。またPd触媒を併用した光照射下でのラジカル反応で、アルケンと一酸化炭素を組み合わせた新たな多成分連結反応へと導いた。本反応においては電子移動の後に生成すると考えられるPd活性種は二量化と共にpersistentラジカルとして機能する可能性が示唆された。ラジカル置換反応による合成手法を環形成に活用する目的で、有機分子への導入が容易であるヒドラジル基に着目し、これを脱離ユニットとする反応を検討した。結果としてC-N結合開裂による置換型ラジカル環化反応を経た環状ジエンの生起を確認すると共にジフェニルヒドラジニル基が優れた脱離基であることを明らかとした。また、マイクロフロー系でのアルケンに対する加熱条件を必要とするラジカル付加反応や同じく加熱条件での遷移金属触媒による置換アセチレン形成反応についても検討したが良好な反応効率の達成と共にバッチ式反応系に対する優位性が明らかとなった。
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