研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
21106003
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
柳 日馨 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80210821)
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研究分担者 |
福山 高英 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60332962)
植田 光洋 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60566298)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ビニリデンシクロプロパン / ホモアリルラジカル / 三成分連結反応 / 1,6-ジエン / アセトアルデヒド / マイクロフロー反応 / 不飽和ラクタム |
研究実績の概要 |
ビニリデンシクロプロパンを用い臭素化アリルへのラジカル付加反応を検討した結果、通常の反応より低温とした条件を用いる事でシクロプロパン環の開環とつづく臭素化アリルへの付加反応が円滑に生起し1,6-ジエンが良好な収率で得られる事を見出した。本反応の一般性を様々な置換形式を持つ基質で確認した。また、生成物に組み込まれた臭素をラジカル反応に付したところ、6員環環化が進行し、アルキリデン置換基を有する特異なシクロヘキサン誘導体に変換させることに成功した。本反応系の鍵活性種はホモアリルラジカルであるがその求核性に着目し電子欠損型アルケンと臭素化アリルを共存させて三成分系反応を検討したところ、期待通りに反応が進行し1,7-ジエンが良好な収率で生成した。これらの成果は臭素ラジカルをメディエーターとするラジカル連鎖反応が、炭素―炭素結合形成に極めて有用であることを示す成果といえる。また本反応系は広範なジエン合成に活用できる。 さらにアセトアルデヒドに対するラジカル付加反応がトリエチルボランを用いることで効果的に生起する事をあらたに見出した。さらにアセチレンとイミノ基を有する各種基質とCOによるラジカル・シクロ付加環化反応を検討した結果、五員環の不飽和ラクタム環の構築にも成功した。 臭化酢酸エステルとアルケンとの反応を光照射下で行なったところ、Kharash 型の反応ではなく還元的な炭素-炭素結合形成反応が生起する事を見出した。本反応系では臭化水素が水素供与体として機能していることを確認した。 さらにアリルシランとキサントゲン酸エステルとスルフォニルオキシムエーテルからなる三成分ラジカル連結反応をマイクロフロー反応で実施した結果、開始剤の分割導入による手法で高収率で生成物を得る事に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
臭素化アリルへのラジカル付加反応に力点をおいて検討する中で、電子欠損アルケンを加えた新たな三成分連結反応系の創出に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
研究は当初の計画以上に順調に進展しており、本年度の成果を踏まえ、三成分系ラジカル反応から四成分系ラジカル反応の構築へと力点をシフトさせて行きたい。同一時空間集積化から時間集積化への展開も研究を加速化させる。
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