研究概要 |
本研究は,反応の集積化により,従来用いられてきたワンバッチでの合成反応ではなし得なかった高い選択性や収率等のハイパーフォーマンスを得ることにある。具体的に反応の集積化は,次の3点に絞り研究を進めて行く。1)メチル基に二個亜鉛が置換したbis(iodozincio)methane(構造式:CH2(ZnI)2)の二つのC-Zn結合の内,一方のみを求核種として利用し,イソシアナートと反応し,亜鉛メチル基を分子内に導入し,通常の方法では生成が困難な亜鉛エノラート利用することを検討する。2)マイクロフロー系(空間集積)による有機銅反応剤の反応を行い,効果的なタンデム反応を実現する。3)両親媒性分子触媒を利用する反応において,自己組織化を利用することにより,ミクロな領域での反応場集積化を行い,ワンポット反応を可能にする。以上における反応の集積化を目的とする。これらの22年度から継続して繰り越し検討を行った結果,亜鉛エノラートの新規合成法を開発することができた。また,有機銅反応剤を用いる反応についてもマイクロフロー系において1,4-付加続いて生じるエノラートのトラップを行うことが可能となった。マイクロフロー系においては従来のバッチ型反応では困難な単純ケトン存在下での選択的1,4-付加反応を行うことができ,先に述べたエノラートのトラップが分子内で行えることも示すことができた。また,二亜鉛種によるシクロプロパン化を利用するシクロヘプタン合成を見いだすこともできた。
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