研究概要 |
ワンポット集積化を機軸とする生物活性多環式天然物の触媒的不斉合成について検討を行い、以下の知見を得た。 1.Rh_2(S-TCPTTL)_4を用い、α-ジアゾ-β-ケトエステルをカルボニルイリド前駆体、エチルビニルエーテル求双極子剤とする逆電子要請型不斉1,3-双極付加環化反応によりエキソ配置の付加環化生成物が良好なジアステレオ選択性かつ最高95%の不斉収率で得られることが分かった。付加環化体再結晶により光学純品とした後、伊藤-三枝酸化、有機リチウム反応剤の付加によりアリルアルコールへと変換した。アリルアルコールの酸化的転位反応、分子内アルドール反応を経てジオールを得た後、Raney Niを触媒とする二重結合の水素化を行うとエングレリンAのコア構造である立体配置の三環性アルコールを良好な収率で得ることができた。 2.α-ジアゾ-β-ケトエステルをカルボニルイリド前駆体、N-メチルインドールを求双極子剤とする不斉1,3-双極付加環化反応にRh_2(S-TCPTTL)_4を用いると、エキソ配置の5環性インドール誘導体が不斉収率99%で得られることが分かった。 3.Rh_2(S-BPTPI)_4を不斉ルイス酸触媒として用いたHDA反応と向山Michael反応の連続型ワンポット化に成功し、高収率かつ95%の不斉収率で2,6-トランス二置換テトラヒドロピラノンが得られることが分かった。再結晶により光学純品とした後、K-Selectrideを用いたC5位カルボニル基の立体選択的還元を経てジオスポンジンBの短工程触媒的不斉合成を達成した。また,ジオスポンジンBのC3位を酸性条件下でエピメリ化することにより高収率でジオスポンジンAへ変換した。
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