研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
21106006
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橋本 俊一 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80107391)
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研究分担者 |
南部 寿則 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 准教授 (80399956)
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キーワード | カルボニルイリド / ロジウム(II)錯体 / α-ジアゾ-β-ケトエステル / 不溶性高分子担持錯体 / (-)-エングレリンA / 1,3-双極付加環化反応 / 不斉触媒反応 / フローリアクター |
研究概要 |
カルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応を機軸とする生物活性多環式化合物の触媒的不斉合成研究として、本年度は以下の成果を得た。 (1) Rh2(S-TCPTTL)4を用いたα-ジアゾ-β-ケトエステルとエチルビニルエーテルとの付加環化反応を行うと、エキソ配置の付加環化生成物が不斉収率95%で得られることが分かった。付加環化体の伊藤-三枝酸化、有機リチウム反応剤の付加、アリルアルコールの酸化的転位反応,分子内アルドール反応を経てグアイアン骨格を構築し、二重結合の立体選択的水素化、Sharplessの方法よるエトキシ基の化学選択的酸化を経て、腎臓がん細胞の成長を選択的かつ強力に阻害する天然物(-)-エングレリンAの全合成を達成した。 (2) Rh2(S-TCPTTL)4の四つの架橋配位子のうち三つの配位子のフタルイミド基を塩素原子で置換した単量体Rh(II)錯体を調製し,2-(トリフルオロメチル)スチレンおよび架橋剤との共重合反応を行い,不溶性高分子担持型Rh(II)錯体を合成した。この錯体32 mgと海砂4 gを管径11 mmの反応容器に充填したフローリアクターを作成し、α-ジアゾ-β-ケトエステルとスチレンを流速0.5 mL/hで注入すると、良好な収率で付加環化体を得ることができた。誘導結合プラズマ質量分析による反応残渣へのロジウムの浸出は2.1 ppmであり、これは反応に使用した錯体の0.013%に相当する。さらに、本フローリアクターは60時間の連続使用に耐えることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カルボニルイリドの分子間1,3-双極付加環化反応は含酸素多環式骨格を一挙に与える優れた方法であるため、本研究の進展により様々な生物活性多環式天然物の触媒的不斉全合成が実現可能と考えられる。また、高い耐久性をもつ固相Rh(II)錯体充填型フローリアクターは、有力な不斉合成プロセスの一つを提供することが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応を機軸とする生物活性多環式化合物の触媒的不斉合成研究を展開する予定である。
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