計画研究
本研究ではマイクロフローリアクターをはじめとする反応集積化の技術を利用して,N-グリカンの効率合成を行っている.特に,その重要性が指摘されているコアフコース含有糖鎖,バイセクティンググルコサミン含有糖鎖の合成を行った.また,ラットの脳で発見された非還元末端にシアル酸を2つ含む4糖構造(ジシアリルモチーフ)も合成した.これらの糖鎖の合成のシアリル化,β-マンノシル化,N-グリコシル化においては前年度までに開発したマイクロフロー系での反応を利用してスケールアップを行った.加えて,インジウムとIClを用いる新規グリコシル化法を開発し,効率的シアリル化反応を開発した.また,マイクロフロー系で,光臭素化やFisherグリコシル化をを行うことで,効率的な反応プロセスとなることを見出した.加えて,シアル酸含有糖鎖の合成においてはシアル酸5位がNHAc期を保護してNAc2体に誘導することで反応性が劇的に向上することを見出した.これは,NHAc体では分子間で水素結合を形成し,反応性が低下していることが原因であることが示唆された.巨大な糖鎖の合成において,反応性の低下は大きな問題となることから,本知見には大きな価値がある.また,αマンノシル化反応において,4位の保護基がグリコシル化の立体選択性に影響を与えることも見出した.これらの知見を利用し,上記のコアフコース含有12糖,バイセクティンググルコサミン含有8糖,ジシアリルモチーフの骨格構築を達成した.さらに,コアフコース含有12糖およびジシアリルモチーフに関してはその脱保護にも成功した.上記に加えて,コアフコースを形成する糖転移酵素であるFUT8の阻害剤の開発も行った.その合成において,アルキンとスルホンアジドを用る新規な多様性指向型合成戦略を開発し,中程度の阻害活性を持つ化合物を合成した.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (27件) (うち招待講演 3件)
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