研究概要 |
分子内タンデムMichae1反応により単一生成物として得た化合物Aから基質を合成し、DBU存在下、MeOH中でPhSHを反応させた。その結果,渡環型連続Michael反応が進行し、3環式トランス-トランス縮環構造を持つ化合物が73%,dr=5.6/1で立体選択的に得られた。この化合物はfusidicacid同族体である抗生物質helvolic acidに含まれる縮環構造を持つ。また、化合物Aをチオールエステルに誘導し,Pd存在下にビニルスズ化合物を反応させるとLiebeskind-Srog1反応と続く分子内Diels-Alder反応が連続的に進行し、3環式トランス-シス縮環構造を持つ化合物が単一生成物として66%で得られた。この化合物の鏡像異性体は抗腫瘍性抗生物質oridonineに含まれる3環式縮環構造を持つ。 対称ジエステルの豚肝臓エステラーゼによる不斉加水分解により得た化合物から合成したヨウ化物を別途合成したγ-ラクトンとカップリングした。この化合物の分子内細見-桜井反応により68%,dr=4/1で所望の化合物Bを立体選択的に得た。化合物Bから誘導したアルデヒドと別途不斉合成したα-プロモケトンのカップリングは,内本らにより報告された条件を用いて成功し,引き続きBurgess試薬による脱水Raney-Niを用いた立体選択的水素添加,MeLiの立体選択的付加を経由し、閉環メタセシスの基質を合成できた。閉環メタセシスは基質の構造を変化させることにより高収率で進行させることができた。その後、数工程を経て(+)-ophiobolin Aの世界初不斉全合成に成功した。 ω-アルケニルチオールエステルと9-BBNにより得たアルキル9-BBNの分子内Liebeskind-Sroglカップリングは比較的合成しにくい下記中員環ケトンを好収率で与えることを見出した。
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