研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
21106014
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久保 孝史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60324745)
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研究分担者 |
蔵田 浩之 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40263199)
松本 幸三 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40311766)
平尾 泰一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50506392)
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キーワード | 反応集積化 / 巨大芳香族分子 / 周期構造 / ナノグラフェン / チオフェン / かご型構造 / 四面体構造 / ラジカル |
研究概要 |
我々は、圧倒的多数の小分子系機能性分子に比べ未知な点が多い巨大分子系、特に周期構造を有する巨大分子系の構築法の確立を研究目的としている。具体的な分子としてグラフェンナノリボン、かご型ポリチオフェン、四面体型ポリチオフェンを設定し、これらの効率的合成法の開発を本年度の目標にした。 グラフェンナノリボンの合成については、オリゴアントラセンを二光子吸収反応により縮環体へと導く検討を、共同研究者の三木一司先生(物材機構)の協力を得ておこなった。しかし、種々の検討にもかかわらず、縮環体を与える反応条件を見出すことができなかった。一方、酸化剤を用いた縮環反応(Scholl反応)により、縮環体を得ることも試みた。酸化剤の種類や溶媒、反応温度を変えることにより、ビスアンテンをビアンスリル体から1段階74%の収率で得ることに成功した。さらに、この反応を用いて、ターアンスリル体からターアンテンを1段階で得ることにも成功した。これまで不可能であったオリゴアントラセンの縮環反応が、見出した反応条件により進行するようになったのは、大きな成果である。今後は、クォーターアンスリル体からクォーターアンテンを直接得る反応を試みる。 かご型ポリチオフェンについては、かご構造を構築する反応に工夫を施した。具体的には、メタセシス反応を用いて二つのユニットを連結してかご構造を構築させた。かご化反応の収率は30%程度とある程度満足のいくものとなった。現在、収率向上に向けて、さらに合成検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オリゴアントラセンからアンテンの効率的合成法の開発に成功したことから、今年度の目標は達成できたといえる。かご型オリゴチオフェンも、まだ改良の余地はあるものの、満足のいく収率で進行する反応を見出しており、こちらも今年度の目標はある程度達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
アンテンの効率的合成法を活かして、ビスアンテンを基本骨格とする機能性材料の開発を実施する予定である。かご型オリゴチオフェンは、ひきつづき改良合成法の検討を行い、将来的にはより高度な化合構造の構築も検討する。
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