研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
21106015
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新名主 輝男 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (90037292)
|
研究分担者 |
武村 裕之 日本女子大学, 理学部, 教授 (60183456)
五島 健太 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (30380538)
芝原 雅彦 大分大学, 教育福祉学部, 准教授 (60253762)
出田 圭子 九州大学, 先導物質化学研究所, 技術職員 (90380542)
|
キーワード | 反応集積化 / マイクロリアクター / フロー反応 / ナノチューブ / π電子系 / 分子認識 / 超分子科学 / マクロサイクル |
研究概要 |
○チューブ状分子の構成単位となるピロメリット酸ジイミド基盤マクロサイクル類は、ピロメリット酸無水物とアミンとの脱水縮合を希釈条件で行い、その後生成したアミック酸を無水酢酸で脱水縮合することにより合成される。 今年度はこの反応をマイクロリアクターを用いたフロー反応で行い、反応溶媒、温度、濃度について詳細に調べた。ピロメリット酸無水物とアミンのTHF溶液を反応用セル中で混合して50℃で1分間反応させ、その後、生成したアミック酸を脱水してから分離を行うと、バッチ反応と同程度の収率で目的のマクロサイクルが得られた。未だ収率の改善が必要であるが、フロー反応では副生成物が少なく、また、マクロサイクルの環サイズは使用する溶媒の種類により選択的に合成できることが明らかになった。今後は、フロー反応を環化反応、光反応、金属触媒を用いるクロスカップリング反応等にも適用する予定である。 ○ピロメリット酸ジイミドを3個含むマクロサイクルは、空孔内にアニリン四量体を包接した興味ある超分子構造体を生成する。一方、このマクロサイクルはN,N-ジメチルアニリンによりゲル化し、このゲルを遠心分離機で分離してからN,N-ジメチルアニリンを真空中で除くと、多孔質ナノファイバーが得られた。これは、マクロサイクルが自己集合により積層してチューブ構造を形成し、更にこれらのチューブ構造がバンドル化してファイバーが形成されると考えられる。この多孔質ナノファイバーはケモセンサーとしての応用や、酸素に比較的安定なラジカルアニオン種が生成するので、有機導電体としての応用を調べている。 ○ピロメリット酸ジイミド基盤マクロサイクル類を連結するためには、イミドのベンゼン環にハロゲン等の置換基を導入する必要がある。長年、臭素を置換したマクロサイクルの合成を検討して来たが、脱水環化反応では目的物の収率が低く量的に得ることが困難であった。最近、環化反応にアセチレンの二量化反応であるGlaser反応が、Pd触媒存在下、有機酸化剤を用いることにより円滑に進行して目的の臭素置換マクロサイクルを収率良く生成することを見出した。
|