計画研究
1.分岐断層付近の反射振幅計算熊野沖で得られた3次元反射法地震探査データには沈み込む海洋プレート上面から付加体を切って海底近傍まで延びる分岐断層が反射面としてイメージされている。反射面の特性から分岐断層近傍の岩石物性の不均質性を抽出することを目的として、分岐断層付近の反射イベントの振幅(エンベロープ)を計算した。反射振幅が弱い場所が線上に分布する様子が見られ、分岐断層近傍の岩石物性に不均質があることが示唆される。分岐断層の上位および下位の構造(他の断層など)による影響である可能性も考えられる。2.紀伊半島沖巨大分岐断層の発見過去の2次元反射法地震探査データの再解釈の結果、1946年南海地震の震源域において、プレート境界断層から上方へ発達する巨大分岐断層を新たに発見した。この巨大分岐断層の海底延長部では急斜面が認められ、明瞭な構造線を形成している。この構造線は、1944年東南海地震の震源域から1946年南海地震の震源域までほぼ連続的に発達し、両震源域で連動した巨大地震(例えば、1707年宝永地震)の発生を示唆する。3.分岐断層の3次元形態解釈3次元反射法地震探査データを用い、分岐断層の3次元形態に関する構造解釈を行った。データが取得された領域内において、東側地域と西側地域で断層形態・曲率などが異なること、断層先端部が凹状の異常形態となることなどが明らかになった。これは、東側地域と西側地域で分岐断層の形成履歴が異なることを示唆している。海底地すべりの分布が東側地域のみで観察されることから、東側地域と西側地域で分岐断層の活動性も異なることが示唆される。
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