計画研究
今年度は南海トラフ付加体浅部から採取された泥岩試料の微細構造観察と破壊・摩擦・透水実験を行い、以下の成果を得た。1)付加体の泥岩にはタービダイト起源の泥岩と半遠洋性泥岩の2種類あり、前者は石英や長石などの砕屑粒子に富み、淘汰が悪く孔隙が多く、一方後者は石英や長石などの砕屑粒子に乏しく、スメクタイトなどの粘土鉱物に富み、細粒均質で孔隙が少ない。2)室温、試料原位置の圧力・間隙圧に相当する封圧36~38MPa、間隙圧28~29MPaでは、タービダイト起源の泥岩は破壊強度が約20MPaと比較的大きく急激な応力降下を伴って破壊したが、半遠洋性泥岩は破壊強度が14.5MPaと比較的小さくゆっくりとした応力降下が起こった。また、タービダイト起源の泥岩の浸透率は2.3×10^<-19>m^2と比較的大きく、一方半遠洋性泥岩の浸透率は2.9×10^<-20>m^2と比較的小さかった。3)室温・大気圧・含水条件において、1cm/s以下の低~中変位速度ではタービダイト起源の泥岩は摩擦強度が比較的大きく(摩擦係数約0.4~0.5)速度弱化を示すのに対し、半遠洋性泥岩は摩擦強度が比較的小さく(摩擦係数約0.3~0.4)速度強化を示した。一方1cm/s以上の高変位速度では両者の摩擦強度に有意な差がなくなり、両者とも顕著な速度弱化を示した。4)以上のようにタービダイト起源の泥岩と半遠洋性泥岩は、力学的性質、水理学的性質ともに大きく異なることが明らかとなった。従って、両者を母岩とする付加体内部の断層の挙動にも大きな相違が予想される。また、京都大学の既存の回転剪断試験機に高温高圧容器を付加し、最高温度300℃、最大封圧150MPaの条件での回転剪断試験が可能になった。来年度に調整と試運転を行い、掘削試料の原位置条件における中~高速摩擦実験に使用する予定である。
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