計画研究
東北地方太平洋沖地震調査掘削:海溝付近のプレート境界断層に到達した。孔内検層とコアから掘削時の応力場を求めたところ、地震に伴い応力降下したことが分かった(Science誌掲載)。地震すべりの指標として摩擦発熱による温度上昇の検出が有効であるため、孔内に温度計アレイを設置した。南海トラフ地震発生帯掘削:C0002孔を2000mまで掘削し、比抵抗イメージ検層から応力場推定を試みたが、ライザー掘削のためブレークアウトが非常に少なかった。一方、全掘削孔で得られた帯磁率異方性(AMS)解析から、表層数百mでは圧密による上下短縮が卓越する一方、付加体先端部では下部に側方圧縮がみられ、ASRによる推定現在応力と推AMSによる推定累積歪が一見異なることが判明した。また、室戸沖付加体先端部付近で11年にわたる孔内間隙水圧計測データから、潮汐応答振幅が時間とともに減衰することを発見した。広域応力場と亀裂:現場応力場のうち、測定が困難な水平最大主応力を、比較的求めやすい水平最小応力を用いて、水平差応力を測定して決定を試みた。コア回収後の弾性変形を用いて差応力を推定する方法が有用であることが分かったが、ヤング率が異方性を持つ場合の最大主応力の方位がずれるため、これを理論的に補正した。断層中の流体挙動解明モデル構築に向けて、封圧下でX線CTイメージが取得できる耐圧容器の開発を継続した。孔内モニタリング:C0002孔に設置した孔内長期観測所(海底下800-1000m)がDONETに接続され、リアルタイムで地震・地殻変動・間隙水圧・温度データ取得を開始した。一方、断層特性の微小変動検出に有効な、地震波伝搬特性(速度・減衰)の時間変動推定に向けて、孔内設置型能動震源による制御震源探査の概念設計を行った。シングルフォース・高効率を前提とし、おもりの吊り上げ機構や下部でのバネ係数等の評価用試作品を製作した。
2: おおむね順調に進展している
C0002孔は当初目標の3600mに到達できず、2000mまでの検層データから応力場を推定した。その他浅部応力場の総合的な検討を行った。C0009孔では、コア法の弾性変形を用いて応力テンソルを推定する手法を構築した(VSPは探査がH25に延期された)。またC0002孔の応力場をコア(ASR法)により推定することができた。JFAST掘削研究は予定通りに実施、さらに応力場から地震前後での応力変化があったことを示してScience論文が掲載された。水理モデル構築のために、フローモデルを構築するとともに、CT計測容器を製作した。孔内設置型能動震源による制御震源探査の概念設計を終了したことに加え、試作品の部分製作も行った。
南海トラフC0002 孔においてライザー掘削を継続し、巨大分岐断層上部(3600m)まで到達する。LWD(掘削時同時検層)データおよびコア試料から、水平最大主応力場の向き・大きさ、水理特性等を求める。熊野海盆C0009孔(第319航海)から得られた応力データを解析するとともに、C0002孔(第348航海)から得られたコアについてASR(非弾性応力解放)法により現場応力を求める。また現場圧力下でのCT計測およびμ-focused X-ray CT計測等を行い、フラクチャ―・流動モデルを作成する。X線CT法によって撮影されたコア断面画像から、コア直径の周方向分布を求めることを試みる。室戸沖付加体先端部に設置された孔内水理観測所(ACORK)から得られた地層内間隙水圧データに記録された潮汐応答や地震時の変動解析を継続し、地層中の水理特性や間隙水圧異常の有無を推定する。JFAST掘削航海で設置した温度計を回収し、地震時の摩擦発熱の検出とそれを用いた応力場を推定する。また、得られたコアについても応力計測等を行う。孔内設置型制御震源の第一次試作機の試験および第2次試作機の製作を行う。C0002孔の長期孔内計測データの解析を行い、間震期の固着様式等を推定する。本研究の成果のとりまとめを行い、論文・学会発表等を行う。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (23件) (うち査読あり 19件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 3件)
Nature Geoscience
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