研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
21108002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西原 寛 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70156090)
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研究分担者 |
中里 和郎 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90377804)
山野井 慶徳 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20342636)
久米 晶子 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30431894)
坂本 良太 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80453843)
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キーワード | 配位プログラミング / 金属錯体 / 刺激応答性分子 / 界面修飾 / 分子デバイス / 光機能性 |
研究概要 |
(1) 新しい刺激応答性分子修飾電極の作製と機能 (i)シリコン(111)およびゲルマニウム(111)基板表面に対する、新たなアリール化手法を開発した。当研究室オリジナルの治験である、パラジウム触媒によるシランのアリール化を基盤とするこの手法は、既存の手法(ジアゾニウム塩を用いたもの)に比べ、官能基許容性に優れている。(ii)シリコン(111)表面にジチエニルエテンを固定化し、異性化に伴う分子ジャンクションの可逆な導電性変化の観測に成功した。(iii)新たな刺激応答性分子としては、プロトン環化応答を示すアミン共役エチニルアントラキノン、LD-LISCを示す鉄錯体、強吸光・強発光を示すペックマン色素群、強電子相互作用を示すジチオレン錯体―フェロセンハイブリッド分子、高いオレフィンの水素化触媒能を示すロジウム-鉄微粒子、光反転を示すピリミジン銅錯体、多電子レドックス反応を示すジチオレンクラスター錯体などの合成に成功した。 (2) 基板表面での自在な分子ネットワークの構築 (i)シリコン(111)表面とエチニルテルピリジンとのヒドロシリル化反応を行い表面を官能基化し、さらにこれを基盤とする「逐次錯形成」を行うことで、ビス(テルピリジン)金属錯体ワイヤの構築に成功した。得られたテルピリジン錯体ワイヤは光応答性のワイヤ内レドックス伝導を示すことを明らかとした。更に、(1)(i)に示した知見を生かし、アリール基をアンカーとするビス(テルピリジン)金属錯体ワイヤの構築も行った。 (3) 微小ゲートCMOS集積回路を用いる超高感度素子の開発 (i)光合成PSIからなる、光電変換素子を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1) 新しい刺激応答性分子修飾電極の作製と機能 に関しては、かなりの成果を挙げたと自負しており、また学会発表、論文についても数多く発表できた。(2)に関しては一次元ネットワークに関しては相当の成果を挙げている。一方で、二次元・三次元系については予備的な成果を挙げている。(3)についても、(2)で合成した二次元系を半導体活物質とした、簡易的なFET素子の構築を行い、予備的なデータの取得に成功している。トータルでみると、本研究課題は当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)については順調に研究成果を積み重ねている。今後もこのペースを維持し、研究を推進して行きたい。次年度以降、特に(2)と(3)に注力したい。具体的な方策は以下の通りである。(2)に関して、特に平面二次元ネットワークに関する研究を推進する。ゼロ次元、一次元、三次元系に比べ、二次元系は既存のシリコンデバイスとの相性が良く、(3)「微小ゲートCMOS集積回路を用いる超高感度素子の開発」にもリンクしやすいためである。(3)については、先に挙げた二次元ネットワーク系を用いたFET素子の作成・特性評価を突破口として、研究を進めて行きたい。
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