研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
21108003
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
芳賀 正明 中央大学, 理工学部, 教授 (70115723)
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研究分担者 |
金井塚 勝彦 山形大学, 理学部, 助教 (50457438)
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キーワード | 表面錯体 / レドックス活性錯体 / 積層化 / メモリデバイス / ルテニウム錯体 / 混合原子価 / マイクロナノバブル |
研究概要 |
「配位プログラミング」によるナノ分子集積体からなるデバイスの作製を目指して、本年度は表面での分子膜のデバイス特性およびナノ集積化で以下の成果を得た。これまで用いてきた4個のホスホン酸基をアンカー基としてもつルテニウム錯体を用いて、表面に自己組織化した分子膜の伝導性に関して、1.酸化チタンナノ微粒子上に錯体を固定した微粒子をナノギャップ電極にはさみ錯体を関して電子ホッピング速度を2×10^<-15>m^2s^<-1>であると推定できた。2.微細加工により作製したITO基板上でのルテニウムに核錯体分子を金電極間に挟んで測定した伝導性に関して、金属錯体を介することで20nm以上でも遠距離電子移動が可能となる機構として、"飛び石"(stepping-stone)機構を計算化学者との共同研究で提案した。3.分子膜電極への酸化電位パルス印加に伴うメモリ効果に関して、種々の積層膜系に拡張してその動作原理について検討した。その結果、酸化に伴い錯体膜中に取り込まれるイオンの電荷量が膜を構成する分子長およびその空隙サイズに依存することを明らかにした。4.安定な混合原子価状態をとる2,3,5,6-テトラ(ピリジル)ピラジンを架橋基にもつルテニウム二核錯体を表面固定化し、その積層膜では各層間の相互作用が小さく混合原子価状態が生成できることを示した。また、ナノ集積化に関して、(a)固体表面へのナノ物質の位置を決めた集積化のためにレーザー光を金やITO表面に照射した時にできるマイクロナノバブルを利用して、プルシアンブルーや酸化亜鉛のナノ細線を溶液から基板上に直接作製することに成功した。この手法は、新たなナノ物質の集積化に関して位置と数をプログラミングして固定化できる手法となることから、日経産業新聞〔2012年4月4日付朝刊〕に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ボトムアップ法による機能性分子積層膜の作製や位置決めした集積化手法の開発など表面での集積化については順調に成果が出ている。今後、新しいデバイス機能の創成のために、今後なお一層の創意が必要だと感じている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度領域内での名古屋大学との共同研究によりデバイス評価に大きな進展があったことから今後さらに基板の工夫や測定分子の工夫により、新しいデバイス構築にチャレンジしていく。
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