計画研究
平成25年度は24年度に引き続き,多環系芳香族炭化水素分子の単分子膜をテンプレートとして白金や金のハロゲン化錯体の電析を試みた。コロネン単分子膜上では金や白金のブロモ錯体が自発的に電析することを見出し,高配向単分子膜の形成にともなって誘起されるAu(111)の再配列構造が自発的な還元析出を導く電子の供給源であることがナノスケール観察から示された。また,より芳香環の数が多いcircobiphenyl 単分子膜上では,クラスターのサイズ,分散性がコロネン単分子膜とは明らかに異なることが走査型トンネル顕微鏡の高解像イメージから示された。さらに,パラジウム,金のブロモ錯体の混合溶液からの電析では,バイメタリッククラスター形成の可能性も示唆され,特に酸素還元活性能の向上が得られた。このように,芳香環の数が多く(分子量が大きく)なるにつれて,高配向な単分子膜の形成のみならず,その吸着状態に応じた特徴ある金属クラスター析出が明らかとなった。クラスターサイズやその分散性は,多環系芳香族炭化水素のサイズに依存しており,界面プログラミングの一つの例と言える。このような金原子列の再配列に伴う相転移現象は,Au(100)面上へのポルフィリン単分子膜の吸着でも相互作用の大小にも起因することが観測された。さらに分子積層膜の3次元方向への展開として,2-ピラジンチオール自己組織化膜上へのポルフィリンやフタロシアニンの配位も実行した。ピラジン部位の窒素原子を認識するように吸着が生じていると考えられる分子レベルでの解像を得ることができた。一方,領域内共同研究の一環として,セリウムイオンが配位したダブルデッカーポルフィリン単分子膜の作製に取り組んだ。高配向な単分子膜形成条件が見いだせず,規則的に分子が配列した像は得られていないが,モノマー分子との共吸着によって分子の孤立化条件が理解されつつある。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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