研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
21108009
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山元 公寿 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (80220458)
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研究分担者 |
田 旺帝 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (40344501)
今岡 享稔 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (80398635)
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キーワード | 配位 / プログラミング / 錯体 / ポテンシャル |
研究概要 |
デンドリマーの塩基性度を実験的に確かめるために、金属(SnCl_2)やプロトン酸(TFA)をデンドリマー溶液に滴下する滴定実験を行った。滴下量に対して観測される等吸収点の波長をプロットしたところ、明確な階段状の変化が観測された。この際の錯形成挙動をMulti-site scoordination modelを用いて理論的に解析したところ、少なくとも各層のイミンへの錯形成定数は100倍程度の差が無くては段階的にならないことが判明した。プロトン酸を用いた錯形成挙動のフィッティングによっても、全体として最内層と最外層で10000倍程度の大きな錯形成定数の差が発現することが確かめられている。 フェニルアゾメチンデンドリマーのモデル物質についてDFT(B3LYP/6-31G)計算を行い、電子密度や静電ポテンシャル、分子軌道の計算を行った。算出されたMulliken charge populationにおいて、内層から外層にむけた電荷の片寄りが確認され、内層ほど負電荷の値が高くなっていることが判明した。静電ポテンシャルを図示した場合にも同様の傾向が確認されている。これによってデンドリマー中心部の塩基性度が向上し、段階的な錯形成が進行していると考えられる。 分子軌道を図示すると、中心部分に存在確立を有する軌道ほど高いポテンシャルを持っており、階段状のポテンシャル構造を有していることも確かめられた。 この性質を利用した電子移動の方向制御と効率の良い光誘起電荷分離反応にも成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポテンシャル勾配の存在を実証できた。さらに、当初計画した電子移動の方向制御と効率の良い光誘起電荷分離反応にも成功している。
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今後の研究の推進方策 |
デンドリマーの特異機能を活かすデバイスの構築に向けて、基礎物性をデータを補足しながらこれまでの結果をを整理し、デバイスへの設計指針を立てる。特に、デバイスや機能計測の専門家とも共同して、デバイス作製を推進したい。
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