研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
21108009
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山元 公寿 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (80220458)
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研究分担者 |
田 旺帝 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (40344501)
今岡 享稔 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (80398635)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 配位 / プログラミング / 錯体 |
研究実績の概要 |
プログラムされたデンドリマーのポテンシャル勾配を活用し、電荷分離反応の促進ならびに光電変換デバイスの高効率化に取り組んだ。亜鉛ポルフィリンをコアに有するフェニルアゾメチンデンドリマーは、各種溶媒中にて光吸収に伴いポルフィリンコアの励起状態を生成する。電子受容性の分子との共存下では電子移動に伴って電荷分離状態に相当するカチオンラジカルとアニオンラジカルを生成する。このラジカルイオン対はエネルギー的に非常に不安定であり、通常は数マイクロ秒程度でアクセプター分子アニオンからポルフィリンカチオンへの逆方向の電子移動が起こり元の基底状態に戻る再結合反応が起こる。デンドリマー骨格でポルフィリンを被覆することによって、この再結合反応を効果的に減速させることに成功し、数十ミリ秒まで寿命を拡張することができた。この電荷分離速度と逆方向の電子移動に伴う再結合速度を評価したところ、デンドリマーの世代数を上げていくに従って相対的に再結合がより強い減速を受け、結果「電荷分離 再結合」となることが判明した。 デンドリマー型の骨格による色素中心(ポルフィリン)の被覆がラジカル種の生成を促進することを利用し、光電デバイスの効率を飛躍的に高めることができる。実際に亜鉛ポルフィリンを増感剤とした光導電セルにおいて低分子の亜鉛ポルフィリンに比べて第4世代のデンドリマーに組み込まれた亜鉛ポルフィリンでは同じ強度の光励起に伴って20倍の感度向上を達成した。分子と分子の界面に樹状分子を挿入するだけで効果的に一方向の電子移動のみを抑制させることができることを初めて実証した。同原理を拡張することによって太陽電池等へも応用が可能であると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、プログラムされたポテンシャル勾配を活用した電子移動の制御に取り組み、勾配と電子移動の相関について明確な相関を見いだすことに成功した。基本的な光電変換素子の作製にも着手し、目論見通りポテンシャル勾配が高効率化に有効であることを示すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
自己組織化による分子間の配列制御技術も活用し、更なる性能向上を目指す。最終年度なので取りまとめに重点を置く.
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