究極の情報担体であり、機能単位である単一分子の配位プログラミング、配位化学が織りなす集合体の超分子プログラミングの確立ならびに創製を目指し、金属錯体分子種を利用したπ電子系化合物の自律的組織化、集積化を多次元的に展開する。すなわち、分子間あるいは集合体間相互作用に基づく高機能化、自己プログラミング機能を持つ金属錯体を創出し、自律的な組織化、集積化手法を確立する。次元性、階層性を兼ね備え、電子的なネットワークの発達したπ共役系高分子集合体ならびにπ共役系分子集合体の緻密配列制御を達成する。平成21年度においては、まず、架橋タンパク質のバンドリングによるアクチンフィラメント高次構造構築に習った金属錯体を利用した階層構造構築、ならびに金属錯体を基盤とする力学応答素子の創製に関する研究を行い、その結果を高次π電子系ネットワーク構造構築へと展開する。平成21年度は具体的には、これまで申請者が見いだした手法を用いて(1)ヘテロな共役ポリマーの交互配列、(2)グリッド型配列、(3)逐次組織化による3次元配列、(4)相互作用の簡素化、(5)新規階層化手法(twimer)の開発、を行うことにより従来得られなかった階層構造を合目的に得ることを試みた。交互配列に関しては成功し、2nm間隔で交互配列された高分子の2次元集合体が得られた。また、金属錯体を含む高分子がフラーレンを新規形状結晶性集合体へと導くことを新たに見出した。機構がバイオメネラリゼ-ションに似通っており、有機高分子がπ電子系分子の配列様式を制御可能であることをあたら二示した。
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