研究実績の概要 |
究極の情報担体であり、機能単位である単一分子の配位プログラミング、配位化学が織りなす集合体の超分子プログラミングの確立ならびに創製を目指し、金属錯体分子種を利用したπ電子系化合物の自律的組織化、集積化を多次元的に展開する。次元性、階層性を兼ね備え、電子的なネットワークの発達したπ共役系高分子集合体ならびにπ共役系分子集合体の緻密配列制御を達成する。 導電性有機材料を指向したπ電子性分子・高分子の合成と集積次元制御を行い、伝導性を示す有機物質集合体を新たに創製することを目標として研究を行った。π電子性高分子においては高分子鎖を取り囲むようにデザインされた環状側鎖を有するモノマーを新たに合成し、完全孤立化π電子性高分子合成し伝導を担うキャリア種が一本の高分子の中でどう振る舞うかを明らかとした。またイオン性の超分子集合体の対カチオン部位にアニリニウムカチオンを選び、超分子集合体を反応の媒体として利用することにより、分子量分布の狭い(PDI=1.3, Mn = 20,000)ポリアニリンの合成に成功した。分子量の大きな(50,000)のポリアニリンの合成には成功していないが、導電性と分子量はおおよそ比例関係にあるため、より結晶性の高い集合体の利用により導電性の向上が見込めることを明らかとした。優れたキャリア移動度を示す集合体に関しては、萌芽的に見出した、フラーレンが特殊配列された結晶性集合体の構築を種々の溶媒中で行い、結晶多形が見られることを見出した。次年度はアルカリ金属などを利用したドープを行い、物性の評価を継続する。力学応答素子に関しては、ジャッキ状の集合体に加え、回転ジョイントをその構造に持つ高分子を新たに設計し、折尺状の応答を検討した。フェロセンとナフタレンイミドを直結したユニットが優れた酸化還元応答性を示すことを新たに見出し、今後高分子化、液晶性の付与を行う。
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