研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
21108012
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 健太郎 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40281589)
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研究分担者 |
山田 泰之 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教 (10385552)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 超分子化学 / 自己組織化 / ナノ材料 / 分子機械 / 分子認識 / 金属錯体 / 液晶 / ロタキサン |
研究実績の概要 |
本研究は、金属錯体の自己組織化による階層的な分子集合構造のプログラミングを行い、三次元的な分子組織をもとにした分子デバイスの創製および新しい化学ナノ空間を創製することを目的としている。具体的には、(1)3次元的な空間配置を目的に合わせてあらかじめプログラムし、他種類、多数の分子コンポーネントからなる機能的な精密分子組織を形成することや、(2)金属錯体をモチーフとした階層的分子集積を行い、新しい概念からなるナノ化学空間を組織することで、個々の分子の化学ポテンシャルを操作することによる、メゾスコピックな分子組織内での分子間コミュニケーションの動的制御を行う。これらをもとに、化学反応や分子間相互作用変換をトリガーとした、化学的および物理的デバイスへの展開を行うことを計画した。分子という最小の構成要素を基にした電子素子、反応素子を用い、幅広いデバイスへの展開が期待できる。 研究計画に従い、ポルフィリンやフタロシアニンなどヘテロな分子構成要素を超分子的な方法論、バイオインスパイアードな方法論を用いてプログラム組織化し、分子素子構築を行った。電気化学的な測定、磁気的測定、分光学的測定を通して、分子間コミュニケーションに関する知見を得て、分子素子、触媒への展開に関わる予備的知見を得るに至った。また、一義的なナノ空間を形成するように設計した、大環状化合物をポリメリックに組織化することで、液晶性を示すソフトマテリアルの開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までの目標どおりに、ポルフィリンやフタロシアニンなどヘテロな分子構成要素を超分子的な方法論、バイオインスパイアードな方法論を用いてプログラム組織化し、分子素子構築を行った。電気化学的な測定、磁気的測定、分光学的測定を通して、分子間コミュニケーションに関する知見を得て、分子素子、触媒への展開に関わる予備的知見を得るに至った。また、一義的なナノ空間を形成するように設計した、大環状化合物をポリメリックに組織化することで、液晶性を示すソフトマテリアルの開発を行った。
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今後の研究の推進方策 |
ヘテロな金属錯体コンポーネントをプログラムして配列した分子組織を構築し、分子鎖内での分子間コミュニケーションについて検討を行う。i)金属錯体をプログラム配列化した上で電極との接合を行い分子素子として特性を評価する、ii)分子認識を利用した分子機械としての特性を評価する、iii)ヘテロな配列を用いたスピン-スピン相互作用の自在構築、などについて検討を行う。本研究では、有機合成、錯体合成をツールとして、様々な分子設計をもとにした分子機能を系統的に構築できるため、プログラム配列した分子組織と電子構造の基礎的な相関を詳細に検討する。外部の共同研究者との連携を取りながら、分子ワイヤーや磁性材料への展開を目指す。また、高分子的な自己組織化を用い、ナノポーラス液晶の創製を行う。一義的な環状構造を形成する錯体が集合しカラムナ液晶を形成するように設計し、流動相中でのチャネル形成を行う。このような新しい化学空間を利用した分子認識や反応制御を行う。また、ゲスト分子と金属イオンの電子的相互作用についても検討し、液晶相の相転移を利用した物性制御を行う。
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