研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
21108013
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
小松 晃之 中央大学, 理工学部, 教授 (30298187)
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キーワード | 蛋白質 / ナノチューブ / 金属ナノ粒子 / 交互積層膜 / 生体分子 / フェリチン / 金属酸化物 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
生命現象の根幹を支え多彩な機能をつかさどる蛋白質を機能材料創製の基本ユニットとして用いる戦略は、合理的な分子設計の一つであり、バイオナノテクノロジーのフロンティアといえる。本研究は、蛋白質や金属ナノ粒子を所望の序列で階層的に組織化する方法(鋳型内交互積層法)により中空シリンダー構造のナノチューブを構築し、その管壁や一次元内孔空間を利用した新しい機能の創出、さらにはそれらを基板と融合させ、従来に類例のない機能分子システムを創製することを目的としている。 1.金属ナノ粒子を含有するナノチューブの合成 金属ナノ粒子を階層成分として含むハイブリッドナノチューブの合成に初めて成功した。金ナノ粒子と高分子電解質(ポリ-アルギニン)のみの組合せでは望みの中空管が全く得られなかったため、金ナノ粒子にヒト血清アルブミンを混合したところ、均質なナノチューブが合成できた。管壁は(金ナノ粒子/アルブミン)層とポリ-L-アルギニン層の交互積層膜から構成される。形態と構造はFE-SEM、TEMにより解析。熱処理で有機成分を焼成除去すると、金ナノ粒子のみからなるナノチューブが得られた。 2.金属置換アポフェリチンナノチューブを用いた金属酸化物ナノチューブの合成 銅置換アポフェリチンとポリ-L-アルギニンからなるナノチューブの合成に初めて成功した。FE-SEMにより三次元構造を解析。熱処理で蛋白質殻を焼成除去すると、酸化銅ナノチューブが得られた。継続して、機能分子システムとしての可能性を探索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画として掲げた内容については、上記したように順調に進展している。ナノチューブの原料となり得る機能性アルブミンの開発も進めてきたが、ごく最近いくつかの新しい人工ヘム蛋白質が合成できる見通しが立ってきた。その意味では、予想以上の成果があったと自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ナノチューブの基板への固定とナノチューブアレイの構造解析に踏み込んでいく。本年度、切っかけをつかんだ人工ヘム蛋白質や蛋白質クラスターの合成も継続検討し、その分子配置・配列を利用した機能分子システムの開発へと展開したい。
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