研究分担者 |
岡田 知己 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30281968)
中島 淳一 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30361067)
小菅 正裕 弘前大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90142835)
山本 希 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30400229)
高橋 努 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (90435842)
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研究概要 |
宮城県鳴子周辺で稠密な地震観測を行うために,本研究費で観測装置を調達し,研究代表者が所属する地震・噴火予知研究観測センターの経費で調達した分をあわせて50セットの観測装置を導入した.積雪前に現地調査を行い,50点の観測点候補地を選定した.雪解けを待って観測装置を設置して観測を開始する予定である. 予備的解析として,既存のデータを用いて東北地方の広域のトモグラフィを行って詳細な地下構造を推定した.また,他の予算による成果ではあるが,2008年岩手・宮城内陸地震や山形県の庄内平野東縁断層帯周辺の速度構造を詳細に調べたところ,地震活動域は上部地殻が高速度域,下部地殻に低速度域となっていること,また断層面に沿って低速度の領域が帯状に見えるなど,当初想定していた地殻流体と地震発生の関係を示唆する構造が得られつつある. また,スラブ内の解析も進め,スラブ内の地震活動域が低速度となっていることや,プレート境界の上盤側に地殻物質があってスラブの温度上昇が妨げられるとスラブ内の地震活動の活発化が抑制されていることが明らかになり,スラブ内地震が脱水脆性化モデルで生じているとする状況証拠が蓄積されつつある. 減衰・散乱構造も地殻流体の存在に敏感であるため,Q値の分布を推定するプログラムを開発し,東北地方に適用して解析を始めた.また,北部伊豆小笠原弧に注目して散乱解析を行ったところ,第四紀火山(八丈島・青ヶ島~須美寿島・鳥島)の深さ30~70kmにおいて,周囲に比べ短波長の速度ゆらぎが強いことが明らかになった. さらに,青森県の恐山周辺で発生した低周波地震の震源の深さと,震央周辺の浅部高周波地震の深さの時間変化に相関が見られる場合があることを見いだした.相関を生じる要因としては低周波地震の発生に伴う応力変化等が考えられ,地震活動の相関も低周波地震の発生メカニズム解明のデータとなることを示唆する.
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