計画研究
沈み込み帯で発生する流体の化学的特徴と発生条件を解明するための予備的な段階の研究として、以下の項目について実施した。(1)高温高圧状態でのH_2O流体-ケイ酸塩メルト間の微量元素分配係数を放射光蛍光X線その場分析によって決定する実験を、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)装置とマルチアンビル(MA)装置用いて、大型放射光施設SPring-8(DACとMA)にて行った。DAC装置は、試料からの蛍光X線シグナルを効率的に検出できるように、ダイヤモンドのキュレット部分に改良を加えた。実験の結果、H_2O流体にはアルカリ元素が選択的に分配され、アルカリ土類・希土類元素はケイ酸塩メルトに選択的に分配されることが明らかになった。(2)沈み込むスラブ中でのH_2O流体-残存鉱物間の微量元素分配係数を決定するための予備実験として、マルチアンビル装置を用いて、サブソリダス条件で玄武岩-H_2O系の高圧実験を行い、H_2O流体を密封したまま高温高圧状態を保ことに成功した。(3)三波川変成帯に分布する高圧型変成岩を採集し、偏光顕微鏡による観察と電子線プローブ分析によって、変成条件を解析した。また、それらの変成岩の石英脈中に含まれる流体包有物をクラッシュリーチング法によって分離し、ICP-MS装置を用いて微量元素組成を分析し、変成条件との関係を調べた。その結果、流体包有物のLi/B比が変成岩の変成度にともなって系統的に変化することが分かった。(4)肥後変成帯に分布する変成岩の変成相と変形組織・石英脈の分布との分布関係を解析し、中部地殻の条件で放出されたH_2O流体が上昇して地震断層に侵入することで脆性破壊を引き起こす可能性を示した。
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