研究領域 | 地殻流体: その実態と沈み込み変動への役割 |
研究課題/領域番号 |
21109004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小木曽 哲 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (60359172)
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研究分担者 |
平島 崇男 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90181156)
岡本 和明 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60456001)
松影 香子 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, グローバルCOE准教授 (80343078)
高橋 栄一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40144779)
山崎 大輔 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (90346693)
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キーワード | 岩石・鉱物・鉱床学 / 地殻・マントル物質 / 流体 / 高圧実験 / 放射光X線 / 変成岩 / 沈み込み帯 |
研究概要 |
沈み込みスラブにおける流体発生条件・化学的特徴の解明を目指して、以下の項目についての研究を行った。 1.ダイヤモンドアンビルセルおよびマルチアンビル装置と放射光蛍光X線その場分析によって、流体-ケイ酸塩メルト間の微量元素の分配係数を決定した。その結果、圧力および塩濃度の上昇とともに、アルカリ元素・アルカリ土類元素がより流体に濃集しやすくなることが明らかになった。 2。三波川変成岩の精密な変成相解析を行い、変成度・変成岩の原岩と、含まれる流体包有物のLi/B比との関係を明らかにした。また、肥後変成岩の断層破砕帯付近に存在する岩脈の相解析を行い、断層破砕帯近傍でCO_2の脱ガスが起こったことを示す証拠を見いだした。 3.角閃岩の脱水分解実験とレーザー照射ICP-MS分析によって、沈み込むスラブ内での固相-流体間の微量元素分配係数を決定するため、マルチアンビル装置を用いた角閃岩の脱水分解実験を行い、固相の微量元素組成をレーザー照射で分析可能な粒径(~30μm)まで成長させる実験条件を確定した。 4.マントルウェッジ内で流体がカンラン岩を蛇紋岩化させるプロセスを反応速度論的に理解するため、カンラン石-輝石-H_20系で高温高圧実験を行った。その結果、出発物質における斜方輝石の存在が蛇紋岩化を促進するこどを示す証拠が得られた。また、地震波観測によって求められる弾性データをマントル中の含水鉱物の分布に対応させるために必要な、マントル物質の地震波速度減衰特性を実験的に決定するため、マルチアンビル装置と放射光X線を用いて、周期的微小軸応力下での標準物質との変位周期のズレを測定するための装置開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度前半は、交付金の7割支給の影響で、当初購入を計画していた物品の購入延期など、計画の変更を余儀なくされる場面もあったが、全額支給以降は、それぞれの補助事業者の努力の結果、最終的には当初の計画通りに研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
それぞれの補助事業者の研究を進展させるとともに、研究集会等での議論を通じて、相互の連携をこれまで以上に強めていく。具体的には、沈み込むスラブ起源の流体、マントルウェッジで発生する流体、地殻内部に存在する流体、それぞれの化学的特徴と発生条件について、高圧実験と変成岩解析から得られる制約条件を総合し、沈み込み帯のどこにどのような流体が存在しているのかについてのモデル構築を目指す。
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