研究分担者 |
渡辺 了 富山大学, 理工学研究部, 准教授 (30262497)
武井 康子 東京大学, 地震研究所, 准教授 (30323653)
清水 以知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (40211966)
河村 雄行 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00126038)
神崎 正美 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 教授 (90234153)
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研究概要 |
(1)下部地殻流体の形態:角閃岩に代表される地殻構成岩石は,しばしば,異方性が非常に強く結晶面の発達する鉱物と,比較的弱く曲面の出る鉱物の集合体である。このような岩石では,各鉱物の二面角に関わらず間隙流体の連結度が上がり,地殻内の高電気伝導度は,連結した流体の存在で説明できる可能性がある,(2)上部地殻流体の形態:中-浅部地殻においては,地殻内弾性波速度が理想的な緻密な鉱物集合体の値に比べて,深度が浅くなるに伴い系統的に遅くなるという特徴がある。これは,岩石で普遍的に観察される鉱物粒間におけるクラックの発達度によって説明できることを,メタチャートの加熱実験と天然岩石の分析から明らかになった。これにより,中-浅部地殻内での流体分布は,連続した粒界クラックに存在している可能性が高い。(3)物性測定実験:低周波微小振動実験により,岩石アナログ物質の弾性・非弾性特性を調べた。その結果,緩和スペクトルがべき乗則を示すこと,減衰は低周波数領域(<0.1Hz)では負の粒径依存性を示し,高周波数領域では粒径依存性を持たないことが明らかとなってきた、さらに、前年度に導入した岩石物性用高温高圧実験装置の技術開発を進め,圧力容器内の温度圧力変化の関係などを理解するとともに,物性その場測定用の改造を行った。また含水岩塩試料の合成法と組織観察法を確立した。岩石三軸変形油圧試験システムでは,軸荷重・封圧のサーボ式制御システムおよび軸荷重計を増設し,高精度三軸変形試験が可能となった。また高温高圧ガス圧変形試験機を用いて,蛇紋岩の三軸変形試験を温度700℃・拘束圧200MPaの条件で行った。(4)ミクロモデル:白雲母・方解石・正長石などの鉱物表面における水のMD計算を行い,表面の影響による水溶液の構造化は表面から10Å程度であることがわかってきた。この結果は,最近得られたX線CTR乱法による電子密度分布をよく説明する。
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