計画研究
1、「地殻流体の化石」としての熱水性鉱床の代表例として、北海道豊羽鉱山の鉱石および周辺母岩の化学組成・および同位体組成(Nd,Pb,He)を測定し、鉱液は、従来説のように、天水+母岩の反応あるいは周辺火山のマグマ水由来ではなく、スラブ由来流体の成分を直接含む可能性が高いことが分かった。2、有馬型熱水については、天水とは異なる深部由来の指標として,Cl濃度が200mg/L以上,かつLi/Cl重量比>0.001であることを提案した。この指標は、有馬型温泉水等のLi/Cl比が海水の100倍以上の値を持つこと、及び油田鹹水や古海水等のLi/Cl比とも0.001で区分可能なこと等から設定された。次に,この指標を用いた日本列島における深部由来流体の分布をマッピングし、(A)西南日本では深部由来流体は、第四紀火山地域及び構造線・断層の近傍に分布しており,深部低周波(DLF)地震の分布と一致するように見えることが分かった。東北日本弧では、ほとんどが第四紀火山近傍に分布し、高い地殻熱流量値の分布と一致することもわかった。また、有馬型塩水のSr,Nd,Pb同位体比測定に始めて成功し、フィリピン海プレート由来の流体と組成範囲が一致することが示された。3、東北日本の島弧横断方向の18試料について、U-Th放射非平衡を測定し、前弧から背弧にかけて、放射非平衡の極性がU過剰からTh過剰へと系統的に変化することが分かった。4、沈み込み帯スケールの2相流モデルに、微量元素の分配・組成を組み込むことに成功し、1-3の観測についての解釈を行った。その結果、島弧マグマやスラブ流体の主要な元素濃度の特徴とともに、U-Th放射非平衡の特徴もある程度、再現することが分かったが、今後、流体輸送のモード(浸透流かチャンネル流か)など、パラメタースタディを行い、観測の解釈をさらに進める必要がある。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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