研究概要 |
多相媒質中の放電として,微細泡が関与する水中プラズマの生成について調査した.今回は,主に,パルス放電の放電開始電圧電圧の微細泡の供給量依存性について調べた.数kV程度の比較的低電圧の印加でジュール加熱により生成した気泡内の放電を用いる例では,外部から気泡を供給する効果が無いことが報告されているが,微細泡が関与する水中放電を行った際に,10kV級の液中放電の場合には,泡の存在が放電開始電圧を低減する効果があることを明らかにした.また,その起源として,高電圧が印加される金属表面に気泡によってもたらされる気相が存在することで,初期電子が供給されやすくなっていることが示唆された. 液中気泡内放電や液滴含有気相放電において必ず存在する気液界面近傍の気相に含まれる水蒸気を起源とするOH等の活性種の密度が,Arを30%以上添加した場合に,計算上は,その準安定原子によるH_2Oの分解によって生成される割合が増えてくることを明らかにした.また,酸化に関係するH_2O_2,HO_2,0についても同様の傾向があることを明らかにした. また,初年度から応用に関する見通しを立てるために,アンモニア水中プラズマを用いた多層カーボンナノチューブの表面処理に着手した.実験の結果,液体中の気泡内放電によって多層力ーボンナノチューブの構造を大きく破壊することなく多層カーボンナノチューブのアミノ化が可能であり,更に,アミノ化された基点を利用して複合材料形成時に有利なε-アミノカプロン酸の重合が可能であることを見出した.
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