研究領域 | プラズマとナノ界面の相互作用に関する学術基盤の創成 |
研究課題/領域番号 |
21110003
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
白藤 立 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10235757)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プラズマ / マイクロプラズマ / ソリューションプラズマ / 集積化 / 多相媒質 / 揺らぎ / ナノ界面 / Er:YAG |
研究実績の概要 |
平成24年度の研究により,平成23年度に作製した三次元集積化マイクロソリューションプラズマ(3D-IMSP)のプロトタイプを改良することにより,メチレンブルーの分解効率を,従来のゼロ次元ソリューションプラズマに対して,約16倍まで向上させることに成功した.また,分解効率の印加電圧依存性の調査から,寄生放電がまだ残存しており,その抑制によって更なる効率向上が期待できることを明かにした.また,3D-IMSPからの発光を,時間分解分光法を用いて調査した結果,3D-IMSPに外部からArを供給していることにより,Hラジカル,OHラジカルの生成経路として,H2Oの電子衝突解離以外にも,準安定のAr(3P)とH2Oの衝突によるHラジカル,OHラジカルの生成経路があり,これが3D-IMSPの高効率化につながっている可能性を明かにした.更に,気液界面に形成されるナノ界面である電気二重層の時間空間的挙動を,計算により調査した結果,3D-IMSPにおいて電圧を印加した後,プラズマが生成・存在している数百ナノ秒後の時間帯では,電気二重層がほとんど形成されておらず,ラジカルだけが生き残っているミリ秒の時間帯において電気二重層が形成されていることを明かにした.これらと並行して,Er:YAGレーザを用いた新たな気液混合相プラズマ生成法を検討した.プラズマ生成による明確な発光を検出するには至らなかったが,プラズマジェット等で得られている滅菌効果があることを明かにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「つくる」班の使命として,三次元集積化マイクロソリューションプラズマの可能性を提案し,試作・実証したが,従来のソリューションプラズマよりも高効率であることの実証が遅れた.しかし,本年度,その高効率性能が実証され,「つかう」班や企業に対して,各種応用への利用時における優位性を具体的に示すことが可能になった.
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今後の研究の推進方策 |
「みる」班が活用している時間分解発光分光法を本研究で適用することにより,三次元集積化マイクロソリューションプラズマが従来のソリューションプラズマよりも高効率である原因が特定されつつある.しかし,最も重要な基底状態ラジカルの検出は,発光分光では不可能であるため,最終年度では,更に「みる」班の知見を活用し,基底状態ラジカルの検出を試みる.また,「みる」班において気液界面の電気二重層に注目しているグループと連携し,気液混合相プラズマにおけるナノ界面である電気二重層とプラズマとの間の物理・化学的相互作用を明かにし,三次元集積化マイクロソリューションプラズマの制御性向上につなげる.
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