研究概要 |
本計画の2年目にあたる平成22年度には,以下の4項目の研究を実施し成果を挙げた。 (1)レーザーアブレーション誘起キャビテーションバブルに関する理論的研究:従来のRayleigh-Plessetモデルを改良し,液相レーザーアブレーションで誘起されるキャビテーションバブルのサイズの時間変化を理論的に再現することに成功した。これに基づき,キャビテーションバブル内部の温度と圧力の時間変化を計算し,キャビテーションバブルがナノ粒子生成に適したパラメータを有することを示した。 (2)ナノ粒子生成場のレーザー散乱計測:アブレーション空間をシャドウグラフ法とレーザー散乱法で同時に観察し,キャビテーションバブルの内部でナノ粒子が成長することを示した。レーザー散乱光のラマンスペクトルを測定するための3重回折格子分光器を設計・製作した。 (3)超臨界水中でのレーザーアブレーション:超臨界水中でのレーザーアブレーションの基礎特性を把握する実験を行った。シャドウグラフ計測および発光強度計測の結果から,超臨界水中のレーザーアブレーションは気相レーザーアブレーションと液相レーザーアブレーションの中間の状態にあるが,どちらかと言うと気相レーザーアブレーションに近いとの結果が得られた。 (4)発光性炭素ナノ粒子の合成:乱層構造を持つ直径50nm以下のカーボン粉末をエタノール中に分散させ,それに非集光のレーザーパルスを照射することにより,コア-シェル構造を有する直径20-30nmのカーボンナノ粒子を合成した。このナノ粒子は,励起波長に依存して発光波長が変化するユニークなフォトルミネッセンス特性を示すことがわかった。
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