研究概要 |
本計画の3年目にあたる平成23年度には,以下の4項目の研究を実施し成果を挙げた。 (1)キャビテーションバブルのダイナミクスの高速動画撮影:高速度カメラを用いて,キャビテーションバブルによるシャドウグラフ像を高速動画撮影した。これまでに把握していたキャビテーションバブルに膨張・収縮・崩壊運動を確認したが,バブルの中心が鉛直下方にシフトする現象を当たらに観測した。 (2)アブレーション媒質水の加圧の効果:アブレーション媒質水を加圧することによりキャビテーションバブルのダイナミックスを制御できることを確認した。ナノ粒子の生成特性におよぼすアブレーション媒質水加圧の効果を調べたところ,加圧により生成されるナノ粒子のサイズが変化(減少)すること(レーザー散乱によるその場計測およびナノコロイドの吸光分光計測),および,ZnOナノ粒子の結晶構造を制御できることが分かった。 (3)超臨界水中でのレーザーアブレーション実験:超臨界水中でのレーザーアブレーションにより生成したプラズマは,同じ圧力の液相水中で生成したプラズマに比べて長寿命であり,空間的に広い範囲に輸送されることを示した。超臨界水中および亜臨界水中でレーザー照射されたチタンターゲットの表面に,それぞれ,ルチル型およびブルッカイト型の酸化チタン層が形成されることを見出した。 (4)非球形のアルミナ粒子に炭素粒子を混合したパウダーを作り,それを液中に懸濁させたうえで,非集光のレーザーパルスを照射することにより,真球状のサブミクロンサイズアルミナ粒子を合成することに成功した。アルミナ粒子の表面には炭素が存在したが,その内部には炭素不純物が存在しないことを確認した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降に遂行予定の研究項目が,狙い通りの結果が得られた場合に最もインパクトの高い成果となる見込みであるため,それに全力で取り組む予定である。中間審査で課題として指摘された「計測とプロセスを結び付けてのナノ界面場の創出の明確化」についても,次年度以降の研究で結果を示していきたい。また,加圧液中でのレーザーアブレーションによる新規材料創製面でも,新しい結果の萌芽が得られており,これらについてのデータを蓄積して応用創出面でも成果を挙げたい。
|