研究領域 | プラズマとナノ界面の相互作用に関する学術基盤の創成 |
研究課題/領域番号 |
21110010
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
永津 雅章 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (20155948)
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研究分担者 |
荻野 明久 静岡大学, 創造科学技術大学院, 准教授 (90377721)
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キーワード | プラズマ / 微粒子 / バイオ活性 / 医療応用 / 表面修飾 / 官能基 / ナノ界面 / 環境応用 |
研究概要 |
本研究では、ナノサイズ微粒子のバイオ・医療応用に注目し、プラズマと微粒子との物理的・化学的表面相互作用、さらにプラズマによる微粒子表面の官能基添加による機能性付加や、逆にウイルス、細菌などの生物機能の消失など、ナノサイズ境界面を有する各種微粒子とプラズマとの表面相互作用に関する研究を実施し、医学・理学分野を融合した新学際的研究領域の創成に資することを目的としている。以下に平成23年度における主な研究成果を列記する。 (1)プラズマ化学修飾による各種微粒子の表面修飾: アンモニアプラズマ処理によるグラフェン層でカプセル化された磁性体ナノ微粒子の官能基表面修飾実験を行い、蛍光色素によるアミノ基修飾およびカルボキシル基の修飾を確認した。また、微粒子表面の官能基修飾率を向上させるため、外部パルス電圧印加による微粒子のプラズマ領域への導入法を提案し、アミノ基修飾率の向上を確認した。 (2)四重極質量分析器を用いたバイオ高分子とプラズマとの表面相互作用: マイクロ波励起窒素・酸素混合ガスプラズマによる芽胞菌の不活化メカニズムの解明を目的として、四重極質量分析器を用いて菌細胞エッチングの実験的検証を行った。窒素プラズマでは、プラズマからの紫外線発光が主な不活化要因であることを示し、さらに四重極質量分析器測定の結果、酸素プラズマと同様に励起窒素原子による菌細胞のエッチングが生じていることを明らかにした。 (3)化学修飾された微粒子表面への多糖類等の固定化: アミノ基などの化学修飾を行ったナノ微粒子表面へのデキストランなど多糖類の固定化とその表面解析を実施し、アミノ基にデキストラン分子が選択的に固定化されることを実験的に明らかにした。また、デキストランなどの多糖類や糖鎖などをアミノ基修飾を施した性体ナノ微粒子表面に固定化することに成功した。この結果により、ウイルスに対して特異的吸着能を有する糖鎖糖鎖を固定化することにより、アミノ基修飾した磁性体ナノ微粒子のウイルスの選択的高濃度検出への応用が期待される。 (4)研究成果の発表: 研究成果として、学術論文に18編(うち査読有15編)、国際会議に15件(招待講演1件)、国内学会に50件(招待講演5件)の発表を行い、1件の特許出願を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の交付申請書に記載した研究目的に沿って、研究計画の通り研究を遂行している。得られた研究成果はCarbon(IF=4.893)、Soft Matter(IF=4.457)、Appl.Phys.Lett.(IF=3.854)などの国際的に評価の高い学術論文誌や、国内外で国際会議や国内学会で発表しており、良好な結果が得られている。このため、現在までの達成度として、「(2)おおむね順調に進展している。」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降の研究課題としては、(1)プラズマ化学修飾による各種微粒子表面の官能基添加の高効率化:(平成24~25年度)、(2)化学修飾された微粒子への糖鎖、多糖類の固定化:(平成24~25年度)、(3)ZnOなどの蛍光体微粒子への生体適合性の付加:(平成24~25年度)、(4)プラズマ相互作用によるバイオ高分子の生物機能の制御:(平成24~25年度)を鋭意進めていく予定である。また、今後の研究では、ナノ界面プラズマの生成と診断に関する領域内の研究者との有機的連携を図り、さらに医療やバイオ分野のなどの他分野の研究者との学術的連携を図り、研究領域の他分野への展開を図っていく計画である。
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