研究領域 | プラズマとナノ界面の相互作用に関する学術基盤の創成 |
研究課題/領域番号 |
21110011
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
小松 正二郎 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, グループリーダー (60183810)
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研究分担者 |
小林 一昭 独立行政法人物質・材料研究機構, 理論計算科学ユニット, 主幹研究員 (00354150)
知京 豊裕 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究者 (10354333)
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キーワード | プラズマ / レーザ / 透明半導体 / BN |
研究概要 |
1.強力X線源を用いた新規薄膜構造測定用XRD装置の導入により、従来は未知の領域であった、ゼロ度からの2θ測定を、x線入射角度ωの関数として行う手法が確立できた。これによって、非常に巨大な単位胞サイズを示唆する回折ピークが検出出来るようになった。現在、これらのデータの解析に着手している段階であるが、光誘起-揺動による相変化が鍵を握る新物質の生成現象であることは確かである。即ち、sp3-結合性BN新規多形で格子常数cが少なくとも1800A以上のサイズの結晶が生成した。これはもちろん、世界初である。この新発見の含意として、巨大単位胞サイズが、ポーラロン等の素励起の有効系と同等になることによる、新しい物理現象の発現が有り、今後の新学術の開拓領域として、浮上してきた。 2.揺動励起の現象として分類されうるものとして、非線形共同現象があげられる。揺動(力学系としての安定点からの遊離)が別の安定点に転移する現象である。その一例として、本BN薄膜の電界電子放出現象をモデル化することに成功し、よく知られているフォウラー・ノルトハイムモデルでは【説明がつかない非線形の電界電子放出現象の説明に成功した。このような非線形力学系の数学を応用したモデルと、量子力学的な光吸収・放出のアイデアの組み合わせとして、光誘起-揺動相変化のモデリングが可能になると考えているため、この成果が本課題において占める重みは大きいトップ考えている。 3.ドーピングの実験として、パイレックスガラス、サファイア等の透明基板上に、スパッタによりシリコン、アルミなどを蒸着し、その上に本BN薄膜を作製する実験を行い、SEM等で、そのモルフォロジーの特異性を観察し、又、サーマル・プローブ法により、pタイプ、nタイプ、双方が、ドーパントの選択により得られることがわかっており、引き続き特性の解明等を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光誘起相変化モデルの概念の具体化とその実験的検証が順調に進んでいる。特に、新学術的には、多形現象の異常に大きな単位胞をもつBNがこの手法により生成することが見出された。これにより、新たな物理現象として、粗大化した単位胞と素励起の有効領域が同等なサイズになることによる特異な物性が期待できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
、現在見出されている巨大単位胞をもつ多形のより詳しい構造解析を進めることと、上に記したような、単位胞サイズと素励起の有効径が同等になることによる特異な物性の発現の探索である。 2.光励起-揺動誘起相変化として、本プロセスの数学的モデル化を進め、前期に得られた構造化学的新手法(Komatsu-Diagram)との関連により理論の一般化を行う。
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