研究概要 |
本計画研究の目的は, 「宇宙創成の物理」解明に不可欠な宇宙マイクロ波背景放射(CMB)および宇宙赤外線背景放射(CIRB)観測用の1000画素クラス超伝導アレイ検出器の開発である.これまでの実験結果や国立天文台による理論的検討から,超伝導検出器の感度向上のための最大のポイントは単結晶Al薄膜の製膜技術の実現にあると考えられる.そこで、平成21年度は、分子線エピタキシー(MBE)装置を活用した単結晶・高品質Al膜成膜装置の導入を進めた.また,低漏れ電流の素子計測技術の開発のための冷凍機の導入も並行して進めた.さらに,超伝導トンネル接合(STJ)素子における漏れ電流低減のための理論的な考察として,超伝導ギャップエネルギーの虚数項が漏れ電流に与える影響にっいて検討を進めるとともに,現有の製膜装置を用いて,以下の3つのタイプの検出器について開発を進め,高感度化・多素子化のための技術基盤構築を進めた:(1)アルミSTJ検出器の設計・試作・評価,(2)新たなタイプのCooper対解離型検出デバイスとして,薄膜を活用したインピーダンスマッチングにより検出感度を向上させた薄膜マッチング型STJ検出器の検出原理と広帯域特性の実証,(3)新たなタイプのCooper対解離型検出デバイスとして,分布線路型STJ検出器の考案・設計・素子作製.また,多素子信号読み出し技術,及び,衛星搭載実験のためのプロトタイプ試験システムの開発のために,交流読み出しを活用した多素子読み出しの要素技術と周辺読み出し回路の検討を進めた.
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