研究領域 | 背景放射で拓く宇宙創成の物理―インフレーションからダークエイジまで― |
研究課題/領域番号 |
21111003
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
大谷 知行 独立行政法人理化学研究所, テラヘルツイメージング研究チーム, チームリーダー (50281663)
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研究分担者 |
関本 裕太郎 国立天文台, 先端技術センター, 准教授 (70262152)
樋口 岳雄 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (40353370)
石野 宏和 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90323782)
田島 治 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80391704)
岡村 崇弘 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (90415042)
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キーワード | 宇宙マイクロ波背景放射(CMB) / 宇宙赤外線背景放射(CIRB) / 超伝導トンネル接合素子(STJ) / Cooper対解離 / マイクロ波力学インダクタンス検出器(MKIDs) / 検出器 |
研究概要 |
本計画研究の目的は,「宇宙創成の物理」解明に不可欠な宇宙マイクロ波背景放射(CMB)および宇宙赤外線背景放射(CIRB)観測用の1000画素クラス超伝導アレイ検出器の開発である.平成23年度は、マイクロ波力学インダクタンス検出器(MKIDs)に重点を移行して研究を推進した。まず、検出器の感度についてはA1を用いたMKIDsでNEP=6x10^<-18>W/rHzを実現した。この実測感度を決めているのは外からの漏れ光の影響であると考えられ、実際の検出器感度はさらに良いと想像される。また、アレイ素子の作製を進め、1000素子検出器を構成する際の基本ユニットとなる100素子デバイスの試作も行った。さらに、周波数選択性や高感度化の実現に有効と考えられる新たな超伝導材料であるTiNについて、最適な成膜条件を見出しMKIDsの試作を行った。並行して102ピクセルのSiレンズアレイの製作に成功し、MKIDsと組み合わせたビームパターン測定を開始した。さらに、最大4000chの周波数コムを用いた読み出し回路の製作・実証に成功した。また、計画研究A01と連携して冷凍機・光学系を含む地上観測用システムであるGroundBIRDの設計・試作を引き続き進めた。また、冷凍機開発のための基礎的な検討として、高性能Gas Gapヒートスイッチに関する研究、及び、パルスチューブ冷凍機特性の傾き角度と冷凍能力の関係の検討も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の推進においては、当初、入射放射による超伝導体中のCooper対解離を用いた量子型検出器として、超伝導トンネル接合素子(STJ)検出器の研究を進めた。一方、Cooper対解離を用いる点では同じだが膜構造と信号読み出し法が異なるマイクロ波力学インダクタンス検出器(MKIDs)も並行して研究し、STJ検出器と同等以上の感度とアレイ読み出しに成功した。MKIDsは作製プロセスや開発要素がSTJ検出器と共通し、素子構造が簡素でアレイ読み出しも容易なことから、当初計画を発展させる形でMKIDs検出器を採用することとした。これにより、当初の最大の課題と考えられたアレイ化についてすでに目処が立ち、高感度化についても目標感度到達まで1桁を切るところまで迫ることとなり、期間内の目標達成は十分可能と考えている。残る課題はシステム化であり研究開発を急ピッチで進めている。
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今後の研究の推進方策 |
最終目標を達成するために以下の2つの課題を柱に研究を進める.理研と国立天文台はMKIDs素子の作製と評価に注力する。国立天文台では実績のあるNbとAlを中心に研究開発を進め、理研では高感度化の可能性が高いTiNに挑戦する。高エネ研と岡山大は、読み出し回路とシステム化を進め、特にシステム化においては計画研究AO1と密な連携を計りながら研究を進める。
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