研究概要 |
本計画研究の目的は,「宇宙創成の物理」解明に不可欠な宇宙マイクロ波背景放射(CMB)および宇宙赤外線背景放射(CIRB)観測用の1,000画素クラス超伝導アレイ検出器の開発である.平成25年度は、平成24年度にひき続いて、マイクロ波力学インダクタンス検出器(MKIDs)、及び、システム開発を推進した。 CMB観測用のデバイス開発では2種の材料について研究を進めた。積層型Al/Nb-MKIDsでは新たにリフトオフを用いた作製方法を開発し、Q~1,000,000 を従来よりも高い歩留まりで実現した。また、600素子アレイ作製、及び、これに合う無反射コート付き720素子Siレンズアレイ製作を行い、アライメントホールを用いて10um以下の精度でのアライメントも実現した。これにより、1000画素クラスアレイの開発はほぼ完成した。一方、TiN-MKIDs開発では、昨年度導入したMBE低酸素プロセスにより酸素混入量が劇的に低減したことが確認できた。また、高精度偏光測定システム開発では、雑音等価温度~200uK√secを達成し、偏光Bモード成分検出を報告したBICEP2実験に匹敵する実用感度評価を実験室でも行える環境を実現・実証した。 読み出し系開発では、市販FPGAを用いた汎用MKIDs周波数領域読み出しシステム開発を進め32chまでの同時読み出しを実現した。この最大チャンネル数は市販FPGAのリソース数の拡大に応じて拡大できるという見通しも得た。また、高エネ研のOpenItというフレームワークに載せ、このシステムの汎用利用環境を整えた。 さらに、地上観測システムGroundBIRD開発では、冷凍機を回転させながら到達温度0.23Kを確認するとともに、連続動作運転試験を行い、問題がないことを確認した。
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