計画研究
被子植物の多くは、自家不和合性として知られるアロ認識機構を有し、自殖を抑制することで種内の遺伝的多様性を維持している。申請者は、アブラナ科植物において、このアロ認識が花粉表層のSP11リガンドと雌ずい乳頭細胞膜上のSRK/MLPK受容体複合体との相互作用を介して行われていることを明らかにした。しかし、SRK/MLPK受容体のリン酸化後に誘導される自家花粉の吸水・発芽の抑制機構は明らかではなく、アブラナ科植物アロ認識機構の全貌は明らかではない。申請者は、これまでに、自家受粉時の乳頭細胞内で、Caイオン濃度の急激な上昇とアクチンの脱重合が起きることを明らかにしている。そこで、本研究では自家不和合性を付与したArabidopsis thaliana C24を作出して、乳頭細胞内にSRK/MLPK受容体のリン酸化後に誘導されるCaイオン濃度の上昇のメカニズムを解明し、自家不和合性の全容を明らかに明らかにすることを目的とした。Caイオン濃度の上昇に関わる輸送体を探索するために、レーザーマイクロダイセクション・マイクロアレイ解析から乳頭細胞特異的発現遺伝子群や和合・不和合受粉時特異的発現遺伝子群を同定した。その結果、すでに報告されているCa輸送体ファミリーの中で、乳頭細胞で特異的に発現する分子種が見出された。次に、Caイオンセンサータンパク質を発現させた乳頭細胞のプロトプラストを作製し、Caイオン濃度上昇がSP11特異的に生じることを示し、薬理学的解析と電気生理学的解析により細胞膜に存在するCaチャネルの性状解析を行なった。さらに、A. thaliana C24では、タグラインなどの遺伝子破壊株が完備されていないため、逆遺伝学的解析ツールとして、C24株Tillingリソースを作製し、候補遺伝子の遺伝子破壊株を選抜して、SP11特異的なCa上昇に関わる分子種を特定した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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