計画研究
本研究では、海産生物の受精における分子認証に関わる分子につて、(1)機能プロテオミクスによる特定、(2)細胞内イメージングおよび(3)トランスジェニックラインを用いた分子の機能解析に主眼をおいて研究を進めた。前者2つは代表者が、後者1つは分担者がこれまで確立してきたシステムを改良しつつ、解析に用い、それらの技術の当該分野への応用を目指した。平成23年度には以下の研究成果が得られた。まず(1)については、ホヤ精子の分画とプロテオミクスによるタンパク質同定により、卵由来の精子活性化走化性物質に反応して運動の活性化と走化性を引き起こすシグナル経路に関与する複数の因子を特定した。その中で、カルシウムの流入とカルパインの活性化、カルパインによる精巣-ガン抗原であるSp17の分解、さらにアデニル酸シクラーゼの活性化という新たな経路が存在することがわかった。また、カルシウムによる精子走化性が、カラクシンによる分子モーターダイニンの抑制により起こることを明らかにした。一方、カルシウムイメージングを用いた解析により、上記の一連のカルシウムシグナリングにおける脂質ラフトの必要性を明らかにした。(3)については、研究分担者がカタユウレイボヤにおいて遺伝子ノックアウト法への導入を進めた。ホヤゲノムに挿入されたEGFP遺伝子をターゲットとして、このEGFPを切断する人工酵素Zinc finger nuclease(EGFP-ZFN)をmRNAの形で導入したところ、非常に高い効率でEGFP遺伝子が破壊されることが判明した。この変異は生殖細胞でも生じ子孫に遺伝する。ほぼ100%のEGFP遺伝子を破壊する条件、off-targetサイトへの影響も明らかにし、遺伝子ノックアウト法をカタユウレイボヤに導入するための基礎情報が整備された。
2: おおむね順調に進展している
プロテオミクスによる受精関連新規因子の同定、イメージング技術による新たなシグナル経路の発見等、当初計画していた研究が概ね達成されている。ホヤ遺伝子のノックアウト系も確立されつつあり、今後はプロテオミクス、イメージングの技術と融合した解析系を確立し、活用していきたい。
本研究では、アロ認証を研究するための解析系についてホヤを用いて確立し新たな知見を得るとともに、領域内共同研究を通じて、広くアロ研究に活用することを目指している。現在、イモリ、ウズラ、ゼニゴケなど、多様な生物を用いた研究者と共同研究を通じて、これらの技術の活用を目指している。今後、それらの研究について一定の成果をおさめるとともに、非モデル生物の遺伝子ノックアウト技術を確立することを目指す。
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