計画研究
精子が子宮から子宮卵管接合部、卵管峡部を経由して卵管膨大部へ移動する過程に関して検討を加え、次のことが明らかになった。ヒト絨毛性ゴナドトロピンで排卵を誘発させたマウスを用いて調べると、精子は交尾後1時間くらいまでに卵管峡部へ達し、次の数時間以内に卵管膨大部まで到達していた。その際の受精率を調べてみると、交尾後2時間くらいから受精が始まっており、6~8時間でほとんどすべての卵子が受精を完了していた。卵管膨大部へ到達する精子数はきわめて少なく、交尾後4~6時間でほぼ10~30匹程度であった。一方、アクロソーム反応が雌性生殖管のどこで起こるかは、いまだに想像の域を脱していない。そこで、交尾後に雌性生殖管を移行途中のマウス精子のアクロソーム反応状況を調べた。精巣上体精子と同様に、子宮内精子のアクロソーム反応率は1割程度であった。この比率は卵管峡部でも維持されていたが、卵管膨大部まで到達した精子はこの比率が逆転しており、大部分がアクロソーム反応を起こしていた。卵管峡部から膨大部までの精子を観察すると、いくつかの卵管のターンを経たあたりから徐々にアクロソーム反応が起こり始まることが見いだされた。このように、マウス精子は子宮から子宮卵管接合部へ移動し、卵管峡部付近から精子の受精能獲得が進行して超活性化運動能が付与され、精子の卵管膨大部への移行にしたがってアクロソーム反応が起こるということが示唆された。現在、卵管内で起こるアクロソーム反応のトリガーの探索を行っている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biol. Reprod
巻: 88 ページ: 105, 1-8
10.1095/biolreprod.112.107425
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