計画研究
被子植物の配偶子の細胞融合過程については、「どのような機構で2個の精細胞がそれぞれ卵細胞と中心細胞と融合(受精)するのか」という植物の受精の本質的な現象に対する知見は非常に少ない。本課題は、イネ単離配偶子を材料として、in vitro受精系、1細胞分子生物学、高感度オーム解析、レーザーマイクロインジェクションによる配偶子操作などの手法を駆使し、植物における配偶子認識および膜融合過程の分子基盤を明らかにするとともに、動物の配偶子融合機構研究者と双方向の研究を推進することで、動植物の配偶子融合機構を統合的に理解することを目的とする。本年度は、単離配偶子および受精卵のマイクロアレイ解析を行った。その結果、卵細胞および受精卵それぞれ30細胞で網羅的遺伝子発現プロファイルを把握できる事が示された。現在、単離精細胞500-1,000個を用いた解析を進めている。また、これら解析と平行して、1細胞からのマイクロアレイ用cRNAプローブの作成法に従い、精細胞、卵細胞、受精卵からcDNAを作製したのちcRNAプローブを合成し、トランスクリプトーム解析を行った。その結果、1細胞からの解析であるのでバックグランドが高い傾向があるが、上述の30細胞からのアレイデータとの相関性が確認された。さらに、平成22年度以降に同定が期待される配偶子融合機構に関与する候補分子の機能解析の際のアッセイ系として、Ca^<2+>およびBSAよるイネ配偶子融合系の確立を試みたが、現時点では融合効率が非常に低く、さらなる条件検討が必要である。
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Sexual Plant Reproduction (印刷中)
Methods in Molecular Biology (印刷中)
Current Genetics Vol.56
ページ: 33-41
Plant and Cell Physiology Vol.50
ページ: 179-190