計画研究
X線小角散乱法(SAXS法)による動的構造解析では、H21年度に購入した2次元複合型ピクセルアレー検出器(PILATUS 100K)を組み込んだX線小角散乱装置をセットアップし、データ収集および解析システムの構築をほぼ完了した。さらに、MD-SAXS法を天然変性タンパク質および天然変性領域を有するマルチドマインタンパク質の動的構造解析に拡張したExtended MD-SAXS法を開発し、その有効性を評価するために、計画研究代表者の石野良純博士が機能研究されている古細菌由来Hefタンパク質(ヘリカーゼドメインとヌクレアーゼドメインの2つのドメインから構成され、その間に約100残基の天然変性領域が存在するタンパク質)のSAXSデータを収集した。収集されたデータを使って初期的な解析を行ったところ、古細菌由来Hefタンパク質は溶液中で単量体として単分散していることが明らかとなり、Extended MD-SAXS法による動的構造解析に適したタンパク質であることが示された。一方、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)による天然変性領域の動態解析の研究では、H22年度においてはできるだけ多数の天然変性タンパク質及びそれらの部分断片試料のイメージングを行い、理論予測との比較、及び、天然変性領域に共通する性質や個々のタンパク質の天然変性領域に特有な性質を調べた。理論予測と一致する場合が一般的であるが、天然変性と予測されている領域が秩序構造をもつ場合や、それと逆の場合もあった。理論的に導かれる中間的な秩序-非秩序指数に対応する構造は実際には存在せず、完全秩序-完全非秩序状態の間をダイナミックに転移している可能性が示唆された。実際、メチル化DNA結合タンパク質MeCP2において転移現象が見出された。天然変性領域がほとんどを占めるタンパク質については、高速AFM観察を容易にするためにGFPなどを末端に導入した試料の調製を進めた。
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