計画研究
・ヒストンH2A/H2B 2量体、H3/H4 4量体についてイオンモビリティ質量分析で分析し、観測された衝突断面積の分布と構造の多様性との関係について MD simulation で解析した。テイル部分の挙動の多様性が衝突断面積の多様性になっていること、simulation 時の温度で再現できることがわかった。・天然変性蛋白質PQBP1とスプライシング因子U5-15kDの複合体構造をX線構造解析によって決定した。その結果、PQBP1のC末端側24残基(P238-T261)がU5-15kDに結合し、P248-S259はヘリックス構造を形成していることがわかった。また、ヘリックスのP248-N255はU5-15kDに接触しているが、A256-S259は接触せずに複合体を安定化していることが示された。・Sox2 HMGドメインは、NMR実験から25℃では構造を持った状態とほどけた状態で構造変化をしているが、37℃ではほぼ全体でほどけていることが分かった。またSAXS実験から、Oct3/4 POUホメオドメインのN端の天然変性領域は、伸びた構造をとっておりfly-casting機構でDNAと結合することが示唆された。また、混みあったスペクトルから緩和分散を出す残基だけを抽出する新規動的構造解析法を完成させた。・ヒストンH2A/H2B2量体中の二次構造を同定した。ヌクレオソームコア中の構造と比較したところH2AでN末とC末のαへリックスが2量体中では壊れ、N末及びC末の各々30アミノ酸領域が天然変性状態であることを示した。またヒストンシャペロンNAP1の酸性ドメインとの相互作用が強くH2A/H2B上に相互作用部位をマップする事が出来た。ヘテロクロマチン形成因子のChp1のクロモドメインの構造を解析しN末のフレキシブルテイルの構造とncRNAの相互作用様式を解明した。
2: おおむね順調に進展している
NMRと質量分析により、単独、遭遇複合体、中間体、特異的複合体等の動的構造を解析し、認識機構の構造的な普遍性を解明することを目指した研究を進めている。これまでに、着実に研究成果が挙げられ、それらは論文および学会で発表されており、研究は概ね順調に進展している。
引き続き NMR と質量分析により、真核生物の核内タンパク質を標的とした動的構造解析を行う。来年度は研究期間の最終年度に当たることから、得られる研究成果を次のステップに発展させることを意識して課題研究に取り組み、論文発表をより積極的に行う。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (34件) (うち招待講演 6件) 図書 (2件)
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