計画研究
RecA/Rad51族組換え酵素が要となる相同(DNA)組換えに働く蛋白質の多くがもつ天然変性領域(IDR)の機能を明らかにすることが目的である。Rad51とRPAとを取り持つ組換えメディエーターRad52は、種間で構造が保存されたN末端DNA結合ドメインと、保存されていないC末端IDRドメインをもつ。このIDR中にRad51と結合する新規の部位を同定し、これがメディエーター機能に必要なこと、自身の重合に必要なRad51のN末端IDRと共通のアミノ酸配列を持ち、Rad51の重合阻害に強く働くことが分かった(Kagawa NAR 2013)。我々は以前に組換えメディエーター機能に不要なRad52のDNA結合機能が働くRad51の相同DNA対合活性促進機能を見つけている。上記のC末端ドメインでのRad51結合はこの促進活性には不要であった。そこで、Rad52は組換えで異なる2つの働きをすることが分かった。相同組換えには、ダブルホリデー組換え中間体を経て交叉型組換えを行う経路と、それを経ずに、一方のDNA配列が、別のDNAの相同配列で置き変わる型の組換え、gene conversionだけを行うSDSA経路がある。交叉は、減数分裂には必須であるが、体細胞ではヘテロ接合性喪失を伴い有害である。Rad51とPCNAのそれぞれに対するSrs2のIDRにある別々の部位での相互作用が、交叉を抑制し、SDSA経路での組換えには必要であることが分かった(Miura PNAS 2013)。この結果は、SDSA経路での組換えでは、Srs2はヘテロ二重鎖を作ったRad51が、その部位から鋳型二重鎖DNAへ重合していくことを防ぐ一方、鋳型二重鎖の塩基対を開いて、PCNAとともに修復DNAを促進し、合成されたDNA鎖を鋳型から外す機能を持つことを示唆した。さらに、RecAには、蛋白質だけの結晶では一定の構造をとらず、DNAとの複合体では一定に折りたたまれるという、IDRと共通の特性をもつループが2ヶ所ある。その一方についてDNAとの結合での未知の役割が明らかになってきた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件)
Nucleic Acids Res.
巻: 42 ページ: 941-951
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
巻: 110 ページ: 16067-16072