計画研究
全原子モデル(肥後):前年度、仮想系とカップルしたマルチカノニカル分子動力学法(V-McMD 法)を開発した。25年度では、adaptive umbrella sampling 法と呼ばれる構造探索法(AUS 法)に仮想系とのカップリングを持ち込むことで V-AUS 法を開発した。これにより、室温領域の準安定構造をより詳細に構造探索できると期待される。この方法を分子動力学計算プログラム(psygene)に実装した。6残基のフレキシブルなペプチド(実験でアミロイド繊維を形成することが確認済み)を二本用意し、溶液で満たされた周期的境界条件のもとで V-AUS 法を実行した。その結果、二本のペプチドが完全に解離した状態から複合体状態までの様々な構造を得ることができた。複合体には、βシートとαヘリックスの両方が含まれている。つまり複合体形成時に出現する寿命の短い準安定構造をサンプリングできた。V-McMD 法は様々な温度領域を構造探索できる高効率の方法であるが、各温度領域で最も存在確率の高い状態を集中的に探索する方法である。したがって、各温度領域での準安定構造の存在比を見積もる上では精度が低い可能性がある。よって室温での自由エネルギー地形の精度を上げるためにさらなる計算手法が必要であった。V-AUS 法は、広い温度領域の構造探査を行うことはできないが、特定温度での自由エネルギー地形を詳細に計算する能力が高い。粗視化モデル(菊池)と中間モデル(高野):これらのモデル計算でも天然変性蛋白質の coupled folding and binding 機構にたいして成果が得られており(業績リスト参照)、肥後の全原子モデルでの計算と呼応できる研究が可能になってきた。以上のように、分子シミュレーションを利用した天然変性蛋白質にたいする有効な研究方法を示すことが出来た。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.tsurumi.yokohama-cu.ac.jp/IDP/